カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界3大映画祭を受賞しているイタリア映画界の巨匠ナンニ・モレッティ監督の最新作『母よ、』が2016年3月12日Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて公開されることが決定し、この度予告編が解禁となります。

ナンニ・モレッティ監督が『ローマ法王の休日』以来、4年ぶりに手がけたのは、すべての人がいつか必ず経験する親の死を通して、家族とは、人生とは何かという普遍的なテーマ。予告編はマルゲリータ・ブイ演じる女性映画監督が母親の余命宣告に直面し、「私がお見舞いに行っても何の助けにもならない」と娘としての苦悩を描きながらも、新作映画の撮影現場では、ジョン・タトゥーロ演じるアメリカ人俳優と気丈にも大喧嘩する姿が描かれる。仕事と家庭で悩みを抱える働く等身大の女性をリアルに切り取りながらも、モレッティならではの独特のユーモアを加味し、余命僅かの母親と正面から向き合い愛する者の死を通して、生きることの素晴らしさを描き、家族の深い愛情を感じる温かい予告編となった。

本作は2015年カンヌ国際映画祭コンペディション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞を受賞したほか、トロント、ニューヨーク、シカゴ、上海、ウィーンなど数々の国際映画祭にも出品。さらにフランスの映画雑誌のカイエ・デュ・シネマ誌の2015年ベスト1にも輝き、世界各国で高い評価を受けている。時にユーモアを交えながら、現代に生きる人々が抱える苦悩が散りばめられている本作は、ナンニ・モレッティが前作『ローマ法王の休日』の製作中に最愛の母を亡くした経験から生まれたものであり、映画の主人公に自身の姿を投影させつつ、親との死別という万国共有の痛みを共有し、観る者の心は締め付けられ、静かな感動が広がる傑作となった。

映画『母よ、』は2016年3月12日(土)、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて公開。

予告編::https://www.youtube.com/watch?v=sGtSgTGO62M

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=54573

執筆者

Yasuhiro Togawa