見たことがないユニークな2パート構成、

“微笑み”と“驚き”がぎゅっと詰まった<幻の傑作>劇場初公開!
『世紀の光』はファンの間で特に人気が高いにも関わらず、これまで日本での上映が難しかった2006年の未公開作。映画は2つのパートに分かれ、エピソードは前半と後半で反復されるユニークな構成。このたび完成した予告編では、地方の緑豊かな病院と近代的な白い病院、自然の光と人工の光を対比させながら、本編の持つ独特なユーモアと壮大さを垣間見せる。使用されている印象的な楽曲は、本編のエンディングに使用されている日本のポップ・ユニット<NEIL&IRAIZA>の「Fez(Men Working)」。当時、アピチャッポン監督自らがNEIL&IRAIZAに手紙を書いて、使用許可をとったという。

本作のタイトル『世紀の光』はタイ語の原題をそのまま訳したものだが、英語題は「SYNDROMES AND A CENTURY」。「SYNDROME(シンドローム:症候群)」という言葉について、アピチャッポン監督は「たとえば恋に落ちるといった人間の行動を指している。恋に落ちることが病気の一種なら、私たちは皆この病気にかかっていますよね」と語り、対する「CENTURY(センチュリー:世紀)」については、「時間の経過=前に進んでいく」という意味合いを持たせていると語る。繰り返されるエピソードは、人間の営みが不変であることを描き出し、そこには監督の輪廻に対する考え方も表れている。タイの天才が贈る<幻の傑作>は、心地よくて懐かしい、しかし他の映画では見たことのない新しさがある。

来る2016年は、<アピチャッポン・イヤー>。1月9日からの『世紀の光』公開と同時に、アピチャッポンのこれまでの長編作品、およびアートプログラムとして世界各地の美術館等で上映されてきた中編・短編を特集上映する「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016」が開催され、そして、3月には今年のカンヌ映画祭で話題を集め、アピチャッポン史上、最高傑作との呼び声高い最新作『光りの墓』が公開となる。また、アートの分野でも、福岡、青森、横浜での展覧会やワークショップ、「さいたまトリエンナーレ2016」への参加、さらには、東京都写真美術館での個展も予定されており、アピチャッポンから目が離せない!

予告編::https://youtu.be/pfxi_aY-dhA

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa