『ザ・コーヴ』への反証と、捕鯨に対する問題提起として制作した『ビハインド・ザ・コーヴ 〜捕鯨問題の謎に迫る〜』の八木景子監督が、昨日12月9日(水)外国特派員協会にて会見を行った。会見ではまず50分の短縮版が上映され、その後にQ&Aが行われた。八木監督は、「色んな動物が食べられている中、どうして鯨だけが?という素朴な疑問から始まった」と制作の動機を述べた。また「数えきれないくらいの偶然が重なってできた映画。太地の方々はもちろん、『ザ・コーヴ』主役や編捕鯨団体のリーダーなど、この問題に関わる人々双方の意見を聞くチャンスが増えていった。映画を作らされていたという感じで、自分で作ったという実感がない」と過程を振り返る。記者からの質問に一瞬緊張の走る場面もあったが、「自然のものとうまく付き合っていくこと。世界中で向き合えたらいい」と熱く思いを訴えた。

『ビハインド・ザ・コーヴ』は、捕鯨と深く関わってきた太地町の住民はもちろん、同町で活動をしている反捕鯨団体のメンバーなど、捕鯨問題における賛成派と反対派の双方へのインタビューを軸に構成されたドキュメンタリー映画。『ザ・コーヴ』のルイ・シホヨス監督や、主演のリック・オバリー氏、「シーシェパード」のリーダーへの取材も体当たりで挑んでいる。本作は、今年9月に開催された「第39回モントリオール世界映画祭」に正式出品され話題を呼んだ。国際世論の注目も集まる中、『ビハインド・ザ・コーヴ』は2016年1月30日(土)から国内での公開(東京・新宿K’s cinemaにて)が始まる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa