公的記録のない独居高齢者や育児放棄された戸籍のない児童など社会派なテーマで問題提起した小林兄弟監督の初監督作品『369のメトシエラ』。
当初、渋谷ユーロスペースでの1館のみの劇場公開後、『ぴあ初日映画満足度ランキング』の1位に輝き、多くの観客の絶大な支持を得て異例の全国40館で上映、2万人を超える観客動員数をはじき出し、独立系映画で大ヒットとなった前作から7年。
遂に待望の最新作『フローレンスは眠る』の劇場公開が2016年3月5日に決定いたしました。

本作も前作同様、小林兄弟によるオリジナル脚本で描く、同族経営の老舗企業に襲いかかった誘拐事件を発端に繰り広げられるクライムサスペンス。

日本の企業で同族企業の占める割合は全体の約95%(2010中小企業庁調べ)。
少子高齢化とグローバル化を迎え、後継者選びは多くの会社が抱える問題となっている。本作は後継者への委譲を迎えた老舗同族企業を舞台に日本企業の苦悩を通し、現代の世相を描き出しています。そして本作の軸となる誘拐事件では、事件当事者と関係者たちの複雑な心理を丁寧に描き、事件のカギを握る身代金として指定される伝説のブルーダイヤ<フローレンスの涙>を通し、同族企業に眠る光と陰を写しながら、世代間の愛憎劇が繰り広げられます。

本作で主演を射止めたのは500人のオーディションで選ばれた藤本涼、ヒロインの役員秘書を演じるのは、『リアル鬼ごっこ』(15 年/園子温監督)『極道大戦争』(15 年/三池崇史監督)などの話題作への出演が続いている桜井ユキ。同族会社の社長・佐藤善一郎を山本學、副社長・佐藤勇次郎を前田吟といった日本のベテラン名優が演じ、3代目新社長を宮川一朗太、副社長の長男を池内万作、次男を東幹久など安定した演技で定評のある俳優陣が脇を固めています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa