今年第10回を迎えたフランス最大の日本映画祭「KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭」(http://www.kinotayo.fr/jp/index.php)の授賞式が現地時間の12/4(金)夜、パリのゴーモン・オペラ・プルミエにて行われ、コンペティションの各賞が発表されました。

グランプリにあたるソレイユ・ドール(金の太陽)観客賞は本映画祭史上初の同点で2作品が同時受賞。『駆込み女と駆出し男』の原田眞人監督は2012年の『わが母の記』に続き2回目のグランプリに輝き、関ジャニ∞の渋谷すばるがパワフルな歌声でストーリーを牽引する『味園ユニバース』は本映画祭4回目のノミネートとなる山下敦弘監督に初のグランプリをもたらしました。
フランスではキノタヨ映画祭が初上映となる塚本晋也監督の『野火』は批評家賞とキャノン最優秀撮影賞を受賞。映画祭初となるW受賞に主演も務めた塚本晋也監督は副賞のカメラを手に「次回作の制作に使います」と喜びの表情を見せました。
また武正晴監督『百円の恋』の主演女優・安藤サクラには急遽用意された会長特別賞が。上映後の監督Q&Aでは熱演に圧倒されたフランスの観客からボクシングシーンの撮影やトレーニングについての質問が相次ぎました。

【第10回KINOTAYO映画祭 受賞結果】

◼ソレイユ・ドール観客賞(グランプリ)
『駆込み女と駆出し男』原田眞人監督
『味園ユニバース』山下敦弘監督 

◼批評家賞:『野火』塚本晋也監督

◼キャノン最優秀撮影賞:『野火』塚本晋也監督

◼会長特別賞:安藤サクラ(『百円の恋』武正晴監督)

KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭について   

フランスで現代日本映画を普及する目的で2006年に発足されたフランス最大の日本映画祭。「KINOTAYO」は映画祭の最高賞でもある「ソレイユ・ドール=金の太陽(KIN-NO-TAIYO)」をフランス人にも発音し易くしたニックネームです。
在仏日本国大使館、ヴァル・ドワーズ県議会等、多数の日仏機関・企業のサポートを受け、NPOのKINOTAYO協会が運営し、今年度で第10回を迎えました。

メインとなるコンペティション部門では毎年フランス劇場公開前の最新作10作品をジャンルを問わず選考する他、オマージュ作品なども上映。メイン会場のパリに加えフランスの各地方都市でも上映を行っており、毎年コンスタントにフランスの観客に向けて日本映画を紹介する重要な役割を担っています。またほとんどの作品でフランス語版の字幕翻訳・上映素材制作を映画祭が行うため、出品者はその後のフランス語圏での配給・映画祭出品が容易になるというメリットもあります。

2015年度はパリ及び近郊では11月24日〜パリ中心地の老舗映画館ゴーモン・オペラ・プルミエ、パリ日本文化会館などで開催。またパリでの上映終了後も2016年2月にかけて、カンヌ、ストラスブールなどの国内7都市で上映が続きます。

映画祭公式サイト(日本語):http://www.kinotayo.fr/jp/index.php

執筆者

Yasuhiro Togawa