再審への扉-。いまだ、開かれず——名張毒ぶどう酒事件 奥西 勝(89)、袴田事件 袴田巌(79)

袴田巌(79歳)。昭和41年、静岡県清水市(当時)の味噌会社で4人の焼死体が見つかった「袴田事件」。袴田は確定死刑囚となった。再審開始の決定の決め手は、有罪の決め手になった血に染まった衣服のDNA鑑定の信憑性。2014年、48年ぶりに釈放された袴田は、3歳年上の姉と生活を始めたが再審は始まっておらずいまだ死刑囚であることに変わりはない——。

そして、2015年10月4日、ひとりの死刑囚が、その生涯を閉じた。
奥西勝(享年89歳)。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」。奥西は35歳で逮捕され、死刑が確定したが、獄中から無実を訴え続けていた。
製作は東海テレビ放送。これまでに「名張毒ぶどう酒事件」のドキュメンタリーを5本製作してきた。仲代達矢、樹木希林出演の『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(13)の監督をつとめた齊藤潤一が本作をプロデュースし、そのメガホンを鎌田麗香が引き継ぎ、渾身のドキュメンタリーに結実させた。「袴田事件」と「名張毒ぶどう酒事件」、袴田巌と奥西勝。ふたりの冤罪を訴え続ける死刑囚とその家族の人生から、法治国家の根幹たる司法が裁いた——、否、犯した罪が浮かび上がる。
奥西の無念の逝去を受け、緊急公開が決定した。

1/16(土) ポレポレ東中野にてロードショーほか全国順次公開

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa