現役最高齢監督として知られ、世界中の映画作家から尊敬を集めた世紀の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督が、今年4月2日に106歳という長寿を全うし惜しまれつつも永眠いたしました。そのオリヴェイラが101歳の時に発表し、日本では長い間、映画ファンから公開が待たれていた幻の傑作『アンジェリカの微笑み』を12月5日(土)より公開いたします。

夭逝した絶世の美女アンジェリカの最後の写真撮影を依頼された青年イザク。その美しい娘にカメラを向けると、娘は突然瞼を開きイザクに微笑みかける。その瞬間、イザクは雷に打たれたように恋に落ちてしまうのだった。神秘に満ちた美しすぎる微笑みに心奪われ、昼夜想いを馳せるイザクの顛末は——?

本作は、日本人にも馴染みのある、まさにポルトガル版「牡丹灯籠」です。絶世の美女に取り憑かれた青年の運命や如何に——。

12月11日はオリヴェイラ監督の誕生日(1908年生まれ!)。没後初めてとなる誕生日を祝してトーク・イベントの開催が決定しました。落語家の立川志らくさんにご登壇いただき、落語の怪談噺の世界に通じる『アンジェリカの微笑み』の魅力をお話いただきます。

実は本作、2010年に発表された作品ですが、相次ぐ日本の配給会社の倒産によって日本公開が遅れたという実際に怖い経緯があります。『アンジェリカの微笑み』は、オリヴェイラ監督が2010年に発表、同年のカンヌ映画祭ある視点部門オープニング上映後、世界に配給されました。映画ファンから公開が待たれていた本作は、紆余曲折を経てようやく劇場公開となります。

【マノエル・ド・オリヴェイラ監督生誕107年記念 トーク・イベント】
■日時:12月11日(金)19:10の上映回(映画上映前予定)
    ゲスト:立川志らく(落語家)
    ※対象回の入場券をお持ちの方のみご参加いただけます。
■場所:Bunkamuraル・シネマ

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執筆者

Yasuhiro Togawa