映画史に記憶される傑作『木靴の樹』(78)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝き、『聖なる酔っぱらいの伝説』(88)ではヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。そして近年は『ポー川のひかり』(07)という名作を生み出した、イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ。
今年のベルリン国際映画祭で喝采を浴びたその最新作が『緑はよみがえる』の邦題で、2016年4月23日(土)から岩波ホールを皮切りに全国順次公開されることが決定いたしました。

『緑はよみがえる』は83歳になったオルミ監督が、父への想いを込めて完成させた特別な作品。
オルミ監督は「父はヒロイズムに駆られて19歳で、第一次大戦に従軍しましたが、過酷な戦場での体験はその後の父の人生を変えてしまいました。戦友を思い、父が涙するのを見たのは一度きりではありません」と語り、いまだ世界のどこかで戦争がつづく現代に、1917年の戦争を描くことで、あらためて平和を問いかけています。
冬山の厳しい自然を、このうえなく美しい映像で表現したのは、監督の息子でもある撮影監督のファビオ・オルミ。娘のエリザベッタ・オルミがプロデューサーを務め、父オルミがずっと胸に抱き続けて来た父親への想いを映画に残すため、家族の力を結集しています。
出演は『海と大陸』『最後のキス』などで知られるクラウディオ・サンタマリア、『ジョルダーニ家の人々』のアレッサンドロ・スペルドゥティはじめとする実力派俳優たち。名もなき市井の人々を人間愛に満ちたまなざしで描き続けてきたオルミ監督らしく、塹壕の中の兵士一人一人の人間性を見つめています。ベネト州アジアーゴ高原の静かで厳しい自然の中に暮らすオルミ監督のまさに集大成と言える、心に響く映画芸術が誕生したと言えるでしょう。

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執筆者

Yasuhiro Togawa