松竹配給にて12月12日(土)より公開となります、山田洋次監督の83作目となる最新作『母と暮せば』。

1948年8月9日、長崎で助産婦として暮らす母のもとへ、3年前に原爆で亡くしたはずの息子がひょっこり現れる。楽しかった思い出話や、残していった恋人の話をして過ごす二人の日々を描いた、山田監督が初めてつくる、やさしく泣けるファンタジーです。
作家・井上ひさしさんが、広島を舞台に描いた『父と暮せば』と対になる作品を、長崎を舞台につくりたいと発言していたことを井上さんの三女・麻矢さんを通じて知った山田監督が、終戦70年となる今年、その井上さんの想いに捧げ映画化にのぞみます。そして、母・伸子役に吉永小百合、息子の浩二役に二宮和也、浩二の恋人・町子役に黒木華という理想的なキャスティングが実現しました。

音楽を坂本龍一さんが手掛けるということも話題となっている本作ですが、この度、タワーレコードとのコラボレーションが実現し、「NO MUSIC, NO LIFE.」キャンペーンの意見広告シリーズに、山田洋次監督と坂本龍一さんが登場することが決定しました。

このキャンペーンは、1996年から音楽そのものを応援するためにスタートし、様々なアーティストが参加することで話題を呼んでいます。2008年からはアーティストが音楽(MUSIC)と世の中(LIFE)との接点を語る意見広告のシリーズとなっています。
このシリーズになってから、映画監督として登場するのは初めてのこととなります。今回、ポスターに寄せられた山田監督、坂本龍一さんからのメッセージは下記となります。
なお、本キャンペーンは、11月17日(火)から、全国のタワーレコード全86店にて、約2か月間展開される予定です。

■山田洋次
「歌を忘れたカナリアは…」という童謡が昔あったけど、今の日本人は歌うことがない。更に云えば歌うことを奪われていると思う。 ぼくたちは自分の歌をうたうことをとり戻さなくてはならない。                                                                      
                                                                    
■坂本龍一
約1万年前まで、人類は長い定常状態のなかで暮らすことが多かった。その遺伝子は今でもぼくたちのなかに受け継がれている。しかし現代、特に20世紀以降、社会環境、自然環境、おまけに気候まで常に変動するなかにぼくたちは置かれている。
体や心にいろいろな不具合が生じるのも当然だ。
音楽は必ずぼくたちの思考や心から生じるので、そのような激変に常にさらされていることは音楽に大きな影響を与えるだろう。そのなかにあって常に変わらぬものを求めることも、また音楽なのである。

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執筆者

Yasuhiro Togawa