この度、ヴェネツィア国際映画祭の審査員特別賞を始めとする全世界30を超える映画祭で、絶賛され、第88回(2016年)アカデミー賞外国語映画賞のトルコ代表作として選出された『シ—ヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語』が、いよいよ、10月24日(土)より、ユーロスペースほかにて公開となります。

非合法の闘犬に身を投じる男たちの世界の中で、神々しくも勇敢な闘犬シーヴァスの総雑な戦い・生きざまを通して、少年の僅かな成長の軌跡を繊細な感性と美しい映像の中に切り取ってみせた、トルコの新鋭、カアン・ミュジデジ監督の衝撃のデビュー作。

本作をいち早く、鑑賞した漫画家で、『銀牙 THE LAST WARS』など、犬同士の会話を人間の言葉に置き換えることで、彼らの友情、結束、葛藤、成長を描いて、国内のみならず、海外でも支持を得ている犬漫画の巨匠、高橋よしひろさんを始め、各界の著名人の方から絶賛の声が届いております。

※順不同・敬称略

この映画を観て、ボクは思い出した。主人公のアスランはボクの幼少期と重なる。
闘犬に限らず、犬は愛情を受けて育つと主人公のために死ねるのだ。
闘犬シーヴァスの気概と少年アスランの愛情を是非観て下さい!
高橋よしひろ(漫画家『銀牙 THE LAST WARS』)
 
異国感溢れ、それでいてどこか日本にも似た懐かしい匂いを感じさせてくれる秀作。
主演の少年の迫真の演技は必見。
天明屋尚(現代美術家)
 
不条理な大人の事情を突きつけられた成熟期の少年の激情と葛藤が緻密に描かれ ており、観る度に新たな発見があるスルメ映画。
綺麗事で飾らないラス ト、演 技とは思えない程美しいアスランとシーヴァスの瞳に溜息が出た。
窪真理(タレント)

日本人のある世代には漫画、白い戦士ヤマトを思い出される作品。
フランダースの犬のネロ少年のように純真な心をもつ主人公と闘犬の触れあい。
しかしそんな多々ある少年と犬の友情を左右するのはいつも大人の思惑である。
トルコの風景が切なく美しい。
信國大志(TAISHI NOBUKUNI デザイナー/テイラー)

暗闇の地平線、彼らの鋭い瞳に光が射す時、
運命が彼らに魔法をかけた。
人は自分の中に眠る可能性を知ることになる。
橋本申二(ヘアメイクアーチストatelier ism®『ライク・サムワン・イン・ラブ』『山河故人』)

残酷さを増すこの世界で少年と闘う事でしか生かされない一頭の犬が出会った。
カメラが一切の甘えを排除し生き抜こうとする二つの命の本質に触れようとする瞬間、
少年と犬の眼差しに魂が貫かれる。
鎌仲ひとみ(映像作家『小さき声のカノン〜選択する人々』)

今、トルコ映画がおもしろい。なんだか停滞している先進国より、今まさに世の中が動いている元気な国の映画の方が、現代という時代が確実に浮かび上がって来る。
これはもう、日本映画はうかうかしてられない。
この題名なら「貧しい国」で作られた、子どもと犬のピュアで愛らしい映画を期待してしまうところだが、それは一昔前の話。
犬の映画、子どもの映画の魅力はたっぷりながら、この映画にはガツンとやられ、度肝を抜かれる。
そこには今この現代の世界が、その厳しさとおかしなところや矛盾までがはっきり映し出され、その現実は残酷ですらある。一見ぶっきらぼうですらあるラストには、「希望」とか「愛」とかでは語り尽くせない、人々が生きていることの凄みが凝縮され、その底抜けなポジティヴさに圧倒される。
藤原敏史(映画監督『無人地帯 No Man’s Zone』)

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執筆者

Yasuhiro Togawa