世界一のステーキを探すロードムービー、『ステーキ・レボリューション』が、いよいよ2015年10月17日(土)に公開となります。
今回は、作品のタイトルでもある「レボリューション(革命)」に注目しました。

アメリカでは、かつてなら証券マンや作家になるようなエリート達が、あえて肉牛農家となるアントレプレナー・レボリューションが起こっています。
またスウェーデンでは、MBAを持つ物理博士が「和牛」を肉牛として飼育し、とてつもない高額売買を叩きだす和牛・レボリューションを起こしています。
さらにフランス・コルシカ島では、肉牛飼育の原点と向き合う孤高の大富豪が全財産と全人生を肉の地産地消に捧げています。
今回は、映画『ステーキ・レボリューション』でも紹介されている“生産者による革命”をご紹介いたします。

■アイ・ワギュウ革命(スウェーデン)
スウェーデンなどのヨーロッパでは、牧草のみを飼料とし長い時間をかけて牛を育てる「グラスフェッド」という方法が主流となっています。
グラスフェッドで育つ牛は、所謂“赤身の牛肉”となり、脂身の少ない、肉本来の味を楽しむことができるような牛に育ちます。
一方で日本の和牛は、グレインフェッドという、穀物などの肥料を与えて短時間で育てられる手法で育ち、霜降りの大きく入った脂身の多い牛肉となります。
スウェーデンの生産者、アンダース・ラーソンは、グラスフェッドの牛にはない日本の和牛に注目しました。
そして日本とスイスで和牛を食べた際、“サシ”の入り方が素晴らしいと感じ、スウェーデンで和牛を作ることを試みました。
アンダース・ラーソンが行った革命は、ただ単に日本の和牛をスウェーデンで飼育するのではなく、
スウェーデンの良さと和牛の良さを掛け合わせた和牛を作ることでした。
牧草で育った牛は絶対的に味がいいと確信しているアンダース・ラーソンは、和牛の胚移植をスウェーデンに移植し、牧草で育てました。
この革命は、スウェーデンで広く受け入れられ、ステーキ1枚の市価が220ユーロ(日本円換算:29480円 ※2015年9月24日時点)
を超えるとてつもない高額売買をたたき出す「和牛・レボリューション」となっています。

■孤高の大富豪・レボリューション(フランス・コルシカ島)
コルシカ島では、孤高の大富豪が財産と生涯をかけて、農業を始めました。
海に面しており、景色のいい土地をあえて放牧地にした理由は、コルシカ島の観光業に代わる新たな経済を作り出し、継続可能な地元経済を作るためです。
環境に気を配りながら、牛を牛肉としてだけではなく、革も利用し経済を活性化させようとする取り組みも行いました。
コルシカ島で育った牛は地元のパーティーで多くの人にふるまわれ、生産者による新たな革命として注目を集めています。

■畜産起業家・レボリューション(アメリカ)
アメリカで主流となっているのは、タンパク質を多く含んだ飼料を使って飼育するグレインフェッドで育った脂身のある牛肉です。
アメリカの飼育の特徴として、「短期間で育て上げる」ということが言えます。
しかし、ニューヨーク州の農場を営むトム・マイラン氏は、肉牛の飼育方法に関して、従来の飼育方法ではなく、環境に優しい飼育方法といったエコロジー面に目を付けました。
トム・マイラン氏は、味の好みはもちろんだが、今後も私たち人間が肉を食べることを諦めずに同時に地球を守る為には、穀物等の飼料を与えて育てるのではなく、100%牧草で育てるグラスフェッドにするしか道はない、と言及しています。
牛に大量の抗生物質を与え、人間のように穀物を与えて育てる工場型の畜産に未来はないと考えるトム・マイラン氏が巻き起こしたこの革命は、「ステーキ・レボリューション・イン・アメリカ」と呼ばれ、アメリカの肉常識を揺るがしています。

このように、世界では様々な“生産者による”革命が巻き起こっています。
映画『ステーキ・レボリューション』では、今世界で巻き起こる様々な肉革命、お肉事情を紹介しています。
あなたの肉の常識がひっくり返るに違いありません。

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執筆者

Yasuhiro Togawa