1995年に公開され石井隆監督作品の中でも絶大な人気を誇り、バイオレンスアクションの傑作として国内のみならず海外からの評価も未だに高く、日本のフィルム・ノワール最高峰として多くのファンに続編を望まれてきた映画『GONIN』。
その続編であり、9月26日(土)より全国公開となる映画『GONIN サーガ』が、9月24日から行われる北米最大の映画祭のひとつ、「バンクーバー国際映画祭」への招待・上映が決定しました。

石井隆の前作『GONIN』が95年に、『GONIN 2』が96年にそれぞれ本映画祭にて上映されており、今回映画祭からの熱烈なオファーを受けての実現となりました。
石井隆監督も本作を引っ提げ映画祭への凱旋を決行、舞台挨拶に登壇する予定です。

 プログラマーのトニー・レインズ氏からは 「この凶暴な新作『GONIN SAGA』 に驚きながら、石井隆について二つのことが明らかだ。一つ目は、この20年間の社会的経済的な変化の中でも彼が最先端であり続け、数少ない監督にのみ可能なことだが、今について正確につかんでいるということだ。二つ目は、日本ネオ・ノワールの、比類なきマスターであるということだ。」という惜しみない賛辞の言葉が寄せられ、『GONIN』が世界に与えた衝撃、そしてその続編となる本作への熱い支持がうかがえます。 

■バンクーバー映画祭
 1982年よりカナダ・バンクーバーで開催されている北米最大の映画祭のひとつ。今年で34回目の開催となり、2014年は70カ国・ 349作品が上映、来場者数は約15万人という盛り上がりを見せた。過去に石井隆監督作『GONIN』(95年)、『GONIN 2』(96年)も上映されており、熱い支持を受ける。昨年は石井裕也監督の「バンクーバーの朝日」が観客賞を受賞したことでも話題になった。新作のワールドプレミアなども行われることから、非常に注目度の高い映画祭である。

*会期:9月24日〜10月9日
*上映日程:9月28日 21:15 〜/9月30日 12:30 〜 (現地時間)
*出品部門:Dragons & Tigers (東アジアの作品を特集・上映)
*日本映画その他出品作品:『海街Diary』(是枝裕和監督)、『100円の恋』(武正晴監督)、『牡蠣工場』(想田和弘監督)

■石井隆監督 コメント
 96年にモントリオールFANTASIA映画祭で石井隆特集”があり、『GONIN』『GONIN 2』が招待上映された。その帰路、僕はトロント、バンクーバーとナイアガラを訪れた。バンクーバーは、ハードボイルド映画そのままの倉庫が並ぶ波止場にスタンドバーがある港街で、街中でカーチェイスが出来る映画コミッションのある街だから、監督にぴったしですよ、と言われたからだ。さらにその足でナイアガラの滝を訪れて遊覧船で滝の近くまで行って雨を浴び、瀑布の裏にある洞窟の中から轟々たる水膜を震える思いで見るショットを妄想しながら、僕の頭の中では東京、香港、バンクーバー、ナイアガラを繋ぐ新しい『GONIN』の構想が湧き上がり、帰国後にすぐに長いプロットを書いた。しかし、そのプロットはシナリオに昇華しないまま誰の目にも触れずに埋もれたが、あれから20年近く、再び『GONIN サーガ』がバンクーバー映画祭で招待上映されると聞き、僕は眩暈とため息が漏れた。

バンクーバー映画祭での『GONINサーガ』上映会に寄せて:石井隆

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執筆者

Yasuhiro Togawa