本年度第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門におきまして日本人初の“監督賞”に輝いた黒沢清監督作品『岸辺の旅』が、遂に10月1日(木)より遂に日本公開となります(テアトル新宿他全国ロードショー)。

黒沢清監督にとっては、初のロードムービー、そして初のメロドラマと言われている本作は、深津絵里と、浅野忠信というまさに国際的にも活躍する日本映画界を代表する2人の実力派が夫婦役で、この“究極のラブストーリー”を演じています。黒沢清監督とは今回が初顔合わせとなる深津絵里と、黒沢清監督作品には映画としては『アカルイミライ』以来12年ぶりの出演となる浅野忠信という最強タッグが話題を呼んでいます。

そんななか、カンヌでの日本人初の受賞に加えて、7月には日本の映画を海外に広めることに貢献した人に贈られる栄誉ある賞“川喜多賞”が黒沢清監督に贈呈され、まさに国内外の大きな賞を連続受賞した映画人、黒沢監督に注目が集まっています! この快挙に大喜びで、贈賞の会場に駆けつけてくださった黒沢作品の常連、役所広司さんをはじめとして、 永瀬正敏さん、アンジャッシュの児嶋さん、鈴木おさむさんら各界の皆さんからの新作『岸辺の旅』へのメッセージも続々届いています!

◎役所広司さん(俳優)

「不思議な再会をした夫婦。その二人を見つめる黒沢監督の眼差しの優しさ。深津さん、浅野さんの繊細で見事な演技。人は皆、大切な人と再会できる可能性を持っている。素晴らしい作品をありがとうございました。」

◎永瀬正敏さん(俳優)

「今でも胸の中で膨らんでくる感情。旅立ってしまった大切な人達への解決出来ない想い。感謝や後悔や様々な“言葉”を心の中に持ちながら、気付いたら自然にその大切な人達への想いと共にこの映画の中を旅していた。そして何かヒントを頂いた気がする。黒沢清監督、素晴らしい作品を有難うございました。」

◎児嶋一哉さん(芸人)

「黒沢清監督の世界観に引き込まれます。死ぬまでちゃんと生きたいと思いました。」

◎鈴木おさむさん(放送作家)

「夫婦愛をこんな風に見せてくれる映画、あっただろうか? 人は意外と、自分の大切なものや大切な時間に気づかずに生きている。見終わったあと、家に帰る足が少し早くなっているだろう。」

◆自身の大レトロスペクティブ開催中の黒沢清監督からメッセージ!

そして現在、10月1日からの『岸辺の旅』の公開に先がけて、シネマヴェーラ渋谷にて黒沢監督の作品26本を一挙上映する大レトロスペクティブ(9月12日〜10月9日)が開催されています。幅広い世代の観客を集め立ち見の出る大盛況の初日には、黒沢清監督が登場しました(聴き手は篠崎誠監督)。もともとは男性が主人公の映画を撮ることが多かったという監督は、かつては女性が一人出てくるだけでも気を遣ったそうですが、一挙に5人の女性出てきて女同士で対決する『贖罪』を撮って以来、女性が主人公でもやれるんだと周囲に思われるようになったと振り返りました。自身の撮影現場については「僕が俳優に異様なプレッシャーをかけるということはないですが、簡単にOKを出すというのは却ってプレッシャーだと思います。うかうかするとすぐに終わってしまうという。あとは、リラックスして朗らかで休憩時間には談笑が絶えないような現場でありたいなと思っています」と語り、今回の回顧上映については「これは自分がこれまでどれだけの作品を作ってきたか、その質と量が良く把握できていまませんが、おそらく全部の作品のいろいろな部分が積み重なって岸辺のあちこちに反映しているのだと思います。どんな内容のものでも真剣にやってきてよかったなと思っています」と感動のコメント!

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執筆者

Yasuhiro Togawa