10月22日(木)〜31日(土)に開催となります第28回東京国際映画祭にて、昨年、映画祭の新たな試みとして誕生し、好評を博した「歌舞伎座スペシャルナイト」を10月26日(月)に開催することが決定いたしました。2回目となる本年は、日本映画の巨匠・黒澤明監督が歌舞伎十八番の内「勧進帳」を題材に、第二次世界大戦前後に企画、撮影した『虎の尾を踏む男達』をニュープリント、英語字幕付きで上映いたします。そして、歌舞伎俳優・片岡愛之助さんによる歌舞伎舞踊 で歌舞伎座スペシャルナイトを彩ることが決定いたしました。

本イベントで上映する『虎の尾を踏む男達』は、終戦の1945年に完成した作品ですが、日本の検閲官が「勧進帳」を愚弄していると言及したことで、その存在自体が7年もの間、封印されてしまいました。GHQによって、歌舞伎は封建的道徳を賛美し、戦後の日本の民主化の妨げになるとして多くの演目が上演を禁止され、歌舞伎存続の危機に直面していました。そうした中でも、歌舞伎の危機やお蔵入りになっていた『虎の尾を踏む男達』の上映禁止を解除させたのは、一部のGHQ担当官たちの、政治を超えた芸術に対する理解であり、それを守ろうとする彼らの尽力の賜物です。

また、映画上映の前には、歌舞伎のみならずテレビや映画、舞台で幅広く活躍される片岡愛之助さんによる歌舞伎舞踊「雨の五郎」を上演します。「雨の五郎」は、歌舞伎ならではの艶やかな口説き、豪快な立ち廻りなど見所に溢れた舞踊です。海外からのゲストにも分かりやすく「歌舞伎」をイメージさせる隈取の化粧、所作一つ一つが絵となる日本舞踊の美しさは、歌舞伎を初めて見る方も歌舞伎通の方も、どなたにも楽しんで頂けるプログラムです。
戦後70年の今年、国境を越えて芸術を愛し、救った先人たちに想いを馳せ、国内外の芸術ファンとともに、日本が世界に誇る歌舞伎舞踊と日本映画の名作を歌舞伎座で楽しむ一夜を演出いたします。
〈片岡愛之助さんによる歌舞伎舞踊「雨の五郎」+黒澤明監督作品『虎の尾を踏む男達』〉を楽しめる、贅沢な「歌舞伎座スペシャルナイト」にご期待下さい。チケットは10月3日(土)より発売となります。

片岡愛之助(かたおか・あいのすけ)
プロフィール
1981年12月、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台。1992年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。2008年12月、上方舞楳茂都流四代目家元を継承し、
三代目楳茂都扇性(うめもとせんしょう)を襲名。

コメント
≪東京国際映画祭 歌舞伎座スペシャルナイトに参加することへのコメント≫
今回ご覧頂く、歌舞伎舞踊『雨の五郎』は、春雨の中、遊女・化粧坂少将(けわいざかの しょうしょう)の恋文を手に廓へ通う曽我五郎の色気とカラミとの豪快な立ち廻りが見どころです。 さらに見得を切るようなザ・歌舞伎という場面もあり歌舞伎らしい華やかさが満載です。 

歌舞伎も映画同様娯楽です。見たことのない映画、新作映画には興味を持って劇場へ足を 運ばれるように、歌舞伎にもこの東京国際映画祭プレゼンツ歌舞伎座スペシャルナイトをきっかけに足をお運びいただければ本望です。

映画『虎の尾を踏む男達』は歌舞伎の演目(『勧進帳』)が題材に選ばれていますので、歌舞伎俳優としてはうれしい作品です。映画の題材にするということは、当時、それだけ多く の人が『勧進帳』を知っていたということですのでそれがうれしく思います。 検閲に引っかかりましたが、GHQ の方々のご尽力で、歌舞伎と同様に復活できた歴史を持つ作品が、戦後 70 年目の節目に歌舞伎座で上映されることにはご縁を感じます。『雨の五郎』とともにぜひ楽しんでいただければと思います。

舞踊「雨の五郎」解説
春雨の夜、蛇の目傘をさした曽我五郎が、大磯の遊女化粧坂少将からの恋文を手にして、廓へ向かっています。五郎と少将は深い仲。そして五郎は父の仇討を心に秘めています。仇討ち物語の主人公として有名な曽我五郎を取り上げた長唄の舞踊。五郎は、荒若衆の血気盛んな様子と、廓通いの色気と華やかさを持ち合わせた人物です。艶やかなくどき、豪快な立ち廻りなど、見所に溢れ、人気の舞踊です。(製作・松竹)

松竹・製作サイドのコメント
  ⇒歌舞伎舞踊「雨の五郎」の上演について 
 「(主人公は、荒若衆の血気盛んな様子と廓通いの色気を持ち合わせた人物で)、立役、片岡愛之助さんの魅力と歌舞伎舞踊の華やかさをお見せするに相応しい演目として、『雨の五郎』を決めました。」
  ⇒片岡愛之助さんの出演について
 「片岡愛之助さんは、歌舞伎俳優としての活躍にとどまらず、近作では弊社配給映画『マザー』で主演(楳図かずお役)を演じるなど、映画出演にまで活動の範囲を拡げていて、映画祭イベントへの出演も相応しいと考え、今回の歌舞伎舞踊の上演をお願いしました。」

上映作品:『虎の尾を踏む男達』
歌舞伎の「勧進帳」と能の「安宅」を音楽喜劇に直した作品。戦国時代の映画を撮影しようと考えていた黒澤明が、戦争中の物資不足のためで撮影所のセットで撮影。映画公開はGHQ占領直後になった。
監督:黒澤明
出演:大河内傅次郎、藤田進、榎本健一、森雅之、志村喬、河野秋武、小杉義男、横尾泥海男、仁科周芳(十代目岩井半四郎)
(1945年/配給:東宝)

<“歌舞伎座スペシャルナイト”特製お弁当>
江戸時代から歌舞伎鑑賞での楽しみの一つであるお弁当を、今年も“歌舞伎座スペシャルナイト”特製のスペシャルメニューでご提供いたします。ぜひ、お楽しみください。

<第28回東京国際映画祭プレゼンツ 歌舞伎座スペシャルナイト>開催概要
■開催日:10月26日(月) ■プログラム:舞踊「雨の五郎(あめのごろう)」、『虎の尾を踏む男達』特別上映
■チケット発売:10月3日(土) 10:00より販売開始!  料金:\10,000(税込)<特製お弁当付き>
【チケットご購入方法】
◆チケットホン松竹  (10:00〜18:00) ナビダイヤル0570-000-489 または03-6745-0888/06-6530-0333
 ※窓口販売・お引取りは10月5日(月) 午前10時より ※窓口販売用別枠でのお取置きはございません。
 ※電話番号のおかけ間違いには充分ご注意ください。間違い電話防止のため、電話機の「リダイヤル機能」はご使用いただかず、1回ごとにダイヤルボタンを押していただくよう、ご協力をお願い申し上げます。
◆チケットWeb松竹  (24時間受付、発売初日は10:00から)|チケットWeb松竹|検索|
◆TIFFチケットボード インターネット受付 東京国際映画祭公式HP: www.tiff-jp.net
 ( http://tickebo/jp にて会員登録が必要・販売開始から24時間いつでも購入可能)
 ※ticket boardインフォメーションセンター:電話 0570-006-506(PHS/IP電話:0986-46-2672)
   オペレーター対応(休業:日/月/祝日 東京国際映画祭開催期間中は無休)

執筆者

Yasuhiro Togawa