2010年、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を受賞した吉田修一の原作と『フラガール』で日本中を感動の涙で包み込んだ映画監督・李相日によって、日本映画史に刻まれた感動作『悪人』。“本当の悪人は誰か”と投げかけるそのメッセージと人間の本質に切り込んだドラマに日本中の観客が感動、興行収入20億円の大ヒットを記録。劇場での高評価をそのままに、第34回日本アカデミー賞全13部門15賞受賞、最優秀賞主要5部門を受賞し、第34回山路ふみ子映画賞、第23回日刊スポーツ映画大賞作品賞、第35回報知映画賞作品賞、第84回キネマ旬報日本映画ベストテン第一位、第65回毎日映画コンクール日本映画大賞など国内のあらゆる映画賞を総なめ、そして第34回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞するなど、海外でも高い評価を得る名作となった。
そして、その大ヒットチームが再集結し、新たな意欲作「怒り」(中央公論新社刊)に挑戦する。
この度、日本映画史上空前の豪華キャスト陣が本作に出演する事が決定致しました!!

吉田修一による、原作「怒り」は2012年10月から13年10月まで読売新聞に連載され、14年に中央公論新社より発行された。
八王子で発生した陰惨な殺人事件。現場に被害者のものと思われる血で書かれた「怒」の一文字。そして全国に逃亡を続ける犯人。事件から一年が経過した現在も有力情報は得られぬまま。事件から生まれた「疑いの念」が日本中に広まり、人々の“信じたい”気持ちに歪みを与えていく。前歴不詳の「3人の男」と出会い、距離が縮まる「3組の登場人物」たちは、信じたはずが一度生じた疑いから逃れられず“信じる”“疑う”と対極の感情の間で揺れる。行き着く先は救いか破滅か。そして、真犯人は誰なのか?
行き場のない感情に葛藤する3組一体の群像劇は、原作者・吉田修一よりハリウッド映画「オーシャンズ11」の様なオールスターキャストで描いてほしいというリクエストがあった。これに応えるように、渡辺謙をはじめ日本を代表する12人の豪華キャストとオーディションで選ばれた新人を加えた13人の出演が決定!東京、沖縄、千葉で紡がれる3つのストーリーと3組の登場人物。本作は李相日作品の真骨頂として、現代社会に深く沁み渡る感動作となります。オリンピックイヤーの2016年秋、日本が世界に誇る新たな傑作が誕生します!!

コメント

■渡辺 謙(槙 洋平 役)*「許されざる者」2013年に続き李組2度目
再び、李相日監督と仕事させていただくことになりました。
人を信じるという事がこんなにも難しく脆いものなのかという、今回もハードな話です。
心してかかっていきたいと思っています。お手やわらかに。無理だと思いますけど。

■森山未來(田中信吾 役)
繊細に受け止め続けて体いっぱいに膨らんだ、透き通った凍てつく痛み。
やがて血が通わなくなり感覚を失い、それでもまだ、心身に行き渡る痛点をいらいらと刺激し続ける、そんな痛み。形は違えど、劇中の全ての登場人物がそんな感覚を等しく抱いているのではないでしょうか。
理解しようなどというおごりは持たず、ただ静かに隣に寄り添いながら、不器用な「怒り」を一緒に昇華させていければ、なぁんてことを今は考えています。

■松山ケンイチ(田代哲也 役)
田代という役は自分とはかけ離れた役で正直どう演じればいいのか見えてきませんが、監督と共演者の皆さんとじっくり田代の怒りを見つけていければとおもっています。

■綾野 剛(大西直人 役)
触れたら壊れてしまいそうなほどの繊細な心たちを受け止め受け入れられるのか、
最後まで、立ち続けられるのか、不安ではありますが、「信じる」「疑う」という怒りの狭間の中で、ただただ、李監督、各部署、共演者を信じ、彼を生きさせて頂きます。

■広瀬すず(小宮山 泉 役)
原作を読んで初めて自分から「この役やりたい」と思い、オーディションに臨んだ作品でした。この作品に参加させて頂けることが決まって、李監督のもと「泉」を演じられることを幸せに思います。スタートに立つ前からたくさん悩んでますが、一生懸命頑張ります。

■佐久本 宝(知念辰哉 役)*沖縄県在中、今回1200名のオーディションの中から大抜擢の新人
今回オーディションで選ばれ、このような環境で演技をするのは初めてで、今はとても緊張しています。原作の中でも大切な役割を持っている人物なので、この役をしっかり受け止め、監督やスタッフの方々と辰哉という役を作っていきたいと思います。初めての環境で慣れない事も多い中、サポートして下さる周りの方々に感謝の気持ちを持ちつつ、演じる事に集中していきたいです。

■ピエール瀧(南條邦久 役)
「うわわー!スゲー名前の人ばかりじゃん!」
日本を代表するキャストの皆さんがズラリと参加するこの『怒り』という作品に自分の名前も加えていただく事に戸惑い&感謝です。楽しみます!

■三浦貴大(北見壮介 役)*「許されざる者」2013年に続き2度目
今作で、北見役を演じさせていただくことになりました。
李監督の作品に何度か出演させていただきましたが、監督の現場はいつも刺激的で、役者として吸収できることが多くあるので、また参加することができて大変嬉しいです。いくつかの視点から物語が進んでいく今作ですが、私は1年間ひとつの事件を追い続けている警察からの視点です。警察組織として、そして若い刑事であるがゆえの、責任や焦り、怒りを表現していければと思います。

■高畑充希(薫 役)
李監督の映画に関われることを、とても幸せに思います。
今回の映画は複雑なジクソーパズルのように色んなストーリーが絡み合っていて、出演者というより観客の一人として、全貌が見える瞬間に既にワクワクしてしまっています。
小さな小さなピースの一つになって、作品を盛り上げられたら嬉しいです。
撮影頑張ります。

■原 日出子(藤田貴子 役)*「69 sixty nine」2004年以来2度目
台本 原作共に読ませて頂き 私の中にも ふつふつと湧き上がる 「怒り」を覚えました。生きること 死ぬこと…世の中の不条理。それでも生きていかなければならない生命と 死んでいかなければならない生命。その両方に触れ 自分自身に問いかける…そんな作品です。役作りは 自分の弱さとの闘いでした。撮影は あっという間でしたが 李監督と再びご一緒出来て嬉しかったです。久々に手応えを感じる仕事が出来たと思っています。

■池脇千鶴(明日香 役)
なんとも胸の奥がざわつく作品に出会えました。出演するのはわずかですが、台本とスタッフと自分を信じて精一杯出来ることをしようと思います。立ち会えないシーンがほとんどなので、どんな映画になるのか今から観るのが楽しみです。

■宮崎あおい(槙 愛子 役)
愛子という、今までに出会ったことのない役を頂きました。
李監督の現場はハードだと聞いていますが、素晴らしいスタッフ、役者の方たちとお芝居ができる時間を楽しみたいと思います。

■妻夫木 聡(藤田優馬 役)*「69 sixty nine」2004年、「悪人」2010年以来3度目
原作を読み、心を鷲掴みにされ、心から優馬という役を演じたいと思いました。
この想いは『悪人』以来です。そして、その役を演じることの奇跡。この奇跡を真実に
変えるべく、全身全霊尽くしたいと思います。信じることの難しさがテーマになったこの作品。
最後まで皆さんと一緒にこの作品を信じていけたらと願います。

■李相日(監督・脚本)
「本気で何かを伝えたい。本気で何かに怒っているー」でも、その感情を容易に他人に見せることは出来ません。バカにされるのが恐いから。そうして、本気が目に見えなくなるほど、人を信じる事は難しく、疑う事は簡単になってしまいます。この作品は、人を信じるため、何より自分自身を信じるための力になれるよう、取り組みたいと思います。

■吉田修一(原作)
生きている限り、みんな何かと戦っている。それぞれの戦いに大小はなく、
もちろん優劣もない。誰もが自分の戦いを必死に戦い、自分の人生を精一杯生きている。そんな人間たちの姿を「怒り」で描きたかった。
 誰もが主人公であるこの物語が、今回これ以上ないスタッフ・キャストで映画化となる。「期待」という言葉では到底足りない思いで傑作の完成を待っています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa