昨年、22年間続いた朗読劇「百物語」を完結させるなど、舞台を中心とした約半世紀にわたる活躍が認められ、第62回菊池寛賞を受賞した女優・白石加代子。その白石が「百物語」に続く新企画をスタートさせた。この作品は、笑いあり、スリルあり、最後にはその名の通り「笑った分だけ、怖くなる」物語を題材にしたパフォーマンス・リーディング。台本を手に持ったまま演者が舞台上で芝居をする「百物語」のスタイルはそのまま踏襲されている。

今回は、白石と演技派俳優・佐野史郎の強力タッグが実現。放送を前に、白石と佐野がコメントを寄せた。
白石「百物語が終わったばかりなのに、間髪いれず、寂しいって気持ちになり、懐かしさがこみ上げてきました。今までこんな事なかったのですが。とはいえ、今回のお話も、また、怖いお話?!私はこんなに普段はやさしいのに、怖い女優と思われているのがうっとうしいです(笑)」

この舞台、登場人物の、時には静かに、時には激しく移りゆく心理状況に合わせ、巧みに変化させる表情や声のトーンは注目点の一つ。特に白石は、幾人もの登場人物を演じ分けていく。また、演出はパントマイムの動きをベースにした独自の世界観で注目を集めている小野寺修二が担当する。
佐野「僕も、小泉八雲の朗読劇を10年ちょっとやっているのですが、白石さんの百物語を見て、こんなに動くんだ、できるかな、と。演出も小野寺さんだというし、僕にダンスやパントマイムができるわけないと構えちゃってました」

演目は、東野圭吾の「超・殺人事件—推理作家の苦悩」が原作の「超税金対策殺人事件」と小池真理子が原作の「妻の女友達」。
<ストーリー>
「超税金対策殺人事件」
作家の僕(佐野史郎)と妻は、確定申告に備えて税理士の浜崎(白石加代子)に作成させた来年度の支払い調書を見てパニックに。今年は例年になく収入が多かったため、僕にとってそれは、あまりに巨額だった。僕に呼び出された浜崎は、提出された領収書の数々について、作品に反映されていないので経費とは認められないと指摘。僕は節税のため領収書の内容に合わせて執筆中の小説「氷の街の殺人」をどんどん書き換えていく。

「妻の女友達」
市役所の戸籍係・広中肇(佐野史郎)は、妻・志津子(白石加代子)、3歳の娘・ちえみ(白石)と3人暮らし。平凡ながら、満ち足りた幸せな日々を送っていた。そんなある日、妻の旧友である流行作家・多田美雪(白石)が突然訪ねてくる。独身の美雪は志津子にアルバイトとして身の回りの世話を依頼。妻との時間をどんどん奪われていった肇は、次第に美雪に対して殺意を抱くようになるのだが…。

白石加代子×佐野史郎「笑った分だけ、怖くなる」は、8月15日(土)夜9:30 WOWOWライブにて

白石加代子、佐野史郎、インタビュー動画も公開中
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/107029/index.php?m=01

執筆者

Yasuhiro Togawa