この度、直木賞作家・黒川博行氏の受賞後第一作である小説「」の映画化が決定致しました。メガホンを取るのは、名匠・鶴橋康夫監督。芸術選奨文部科学大臣賞(05年「砦なき者」)、紫綬褒章(07年)、旭日小綬章(13年)と、ドラマ界で数々の賞を受賞し、社会派作品の名手と言われる鶴橋監督。映画監督作品は、『愛の流刑地』(07年)、『源氏物語 千年の謎』(11年)に次いで、3作品目となります。今作では脚本も手掛け、人間なら誰しもが持つ欲を可笑しみ溢れる表現で描き切り、娯楽性の高い“人間喜劇”として作り上げます。
主人公・小夜子を演じるのは、「愛の世界」(90年)や「刑事たちの夏」(99年)等、多くの鶴橋作品への出演を果たしている大女優・大竹しのぶ。小夜子と共に独り身の老人達を騙していく結婚相談所所長・柏木役に、映画『愛の流刑地』(07年)で鶴橋作品に出演した豊川悦司。小夜子と柏木を追い詰める探偵を永瀬正敏、父を殺されたと疑い探偵に調査を依頼する中瀬朋美を尾野真千子が演じます。大竹しのぶと豊川悦司の共演は『石内尋常高等小学校 花は散れども』(08年)、『一枚のハガキ』(11年)に続き、本格的なタッグは3度目となります。また、永瀬正敏は『私立探偵 濱マイク』(映画版93年〜96年、ドラマ版02年)以来の探偵役となります。さらに、小夜子が次のターゲットとして狙う不動産屋の隠居・舟山喜春に笑福亭鶴瓶。小夜子の息子・博司役に風間俊介、朋美の父・中瀬耕造に津川雅彦、朋美の姉・西木尚子に長谷川京子、柏木の愛人・三好繭美に水川あさみ、小夜子と柏木の協力者・瀬川英子に余貴美子、そして被害に合ったとされる元夫たちに森本レオ、六平直政、伊武雅刀など、演技派且つ個性的な役者陣が脇を固めます。
2016年、愛おしさすら感じるほどに欲深く、笑ってしまうくらい人間臭い登場人物達が織り成す、可笑しみたっぷりの鶴橋流“人間喜劇”の誕生に、どうぞご期待下さい。

後妻業とは…?
全国4000社以上、60万人以上の利用者がいる結婚相談所。シニアの利用客が年々増加する昨今、資産を持つ独身男性に近づき、あらゆる手練手管で虜にして後妻に収まり、男性に多額の金品を貢がせるケースが急増しています。中でも悪質な犯罪に発展した例が、記憶にも新しい2014年の筧千佐子・京都連続不審死事件。その際、『後妻業』は、事件の前に出版されていたことから、「予言していたのでは…?」とテレビ・新聞・雑誌などの媒体で連日取り上げられ、最近の社会面を賑わせました。本企画は、そんな話題騒然の犯罪“後妻業”を題材にしています。

コメント
■鶴橋康夫(監督・脚本)
この「後妻業」は、社会から孤立した老人を喰い物にする小夜子と柏木が主人公ですが、誰もが感じる人間の孤独感、無防備にさらけ出された深い悲しみを明るくお茶目に描くことで、現代社会に潜む悲喜劇をあぶり出したい。
 結婚詐欺師である小夜子に半夏生のような黒白表裏を身にまとった大竹しのぶさん、相棒の柏木に菖蒲の芽のように身も心も真っ直ぐな豊川悦司さん他、いつか、きっとまた出て頂きたかった大好きな俳優陣が愛おしい登場人物として演じ切ってくれます。
私の両親が生きていたら、映画館で声を上げて笑ってくれるような、そんな作品にしたいと思っています。

■黒川博行(原作)
稀代の悪女、小夜子を大竹しのぶさんが演じると聞いた瞬間、見たい!と思いました。
豊川さんも永瀬さんも好きな俳優です。鶴橋監督がどんな映画にされるのか、ほんま楽しみです。

■大竹しのぶ(主演:武内小夜子役)
16年振りの鶴橋組なので、本当に楽しみにしていました。ワンカット撮る度に、「よーし、オーライ」と言って下さる監督の声を聞くのは、役者としてこの上ない幸せです。
気心の知れた素敵な豊川さんと思いっ切り“悪”を楽しみたいと思います。
そして、初めて芝居をする鶴瓶さんと、どんなことが起こるのか、すごーく楽しみで、ちょっと恐いです。
とにかく、面白い映画になるよう監督についてゆきます。

■豊川悦司(柏木亨役)
あまりに底抜けな企画とキャストにワクワクドキドキ満載な気分です。
鶴橋監督と大竹さんと手をとりあって、チャーミングなピカレスクロマンを創っていきたいと思います!

■笑福亭鶴瓶(舟山喜春役)
僕のどこを見て、鶴橋監督がこの役をやらせたいと思ったのか・・・とにかく鶴橋監督というとてつもなく面白くてステキな人が、僕を出演させて良かったなと思ってくれるよう頑張りたいです。大竹しのぶさんはよく知っているけれど初共演。豊川悦司さんは少しだけお会いしたことがあるけれどとても面白い人。魅力的なお二人との共演もとても楽しみです。大竹さんとはベッドシーンがあるようなんですが、それはお断りしたいと思っています(笑)。

■永瀬正敏(本多芳則役)
再び鶴橋監督とご一緒出来る事、とても嬉しいです。素晴らしい共演者の皆さんと共に鶴橋監督の世界に“ドップリ”浸からせていただきたいと思っています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa