2000年。喜劇役者として絶大な人気を誇っていた藤山直美が、映画に初主演をした。監督は阪本順治。
実在の事件を元に描かれたこの人間ドラマは、単館系でありながら大ヒットを記録し、阪本監督と藤山直美は、その年の映画賞を総なめにする。
あれから15年。
再び、阪本順治の手により、藤山直美がスクリーンに姿を見せる。今度は、どこにでもある団地のどこにでもいる「普通の主婦」として。
夫と自分だけが知っている、誰にも言えない「普通じゃない秘密」があるけれども。
藤山直美が演じるのは、主人公・山下ヒナ子。その夫・山下清治を演じるのは、岸部一徳。団地の自治会長・行徳正三役に石橋蓮司。行徳の妻・君子役に大楠道代。そして、ヒナ子の家を出入りする謎の男役には、阪本組初参加となる斎藤工。更には、宅間孝行、竹内都子、濱田マリらが団地の住人役として出演。
現在、栃木県足利市内にて撮影中、2016年公開予定。

監督コメント
『顔』とは違ったものを一緒にやるということで、楽しいやら怖いやら・・・
(『顔』を撮影した)当時は「藤山さんとはこの1本で終わってもいい」というくらいのつもりでやっていました。15年経って、(藤山さんのスケジュールが)あいている、と(聞いた)。
『顔』の延長上ではなく、新しいものを作れる気がしたんです。それでシノプシスを渡したら、「あんたはアホやな」と(言われました)。
この15年間、(藤山さんの)舞台を仰ぎみてきましたが、もう一度めぐり合ってチャンスに恵まれました。舞台の藤山直美ではない人物像をどう造形していくか、それを観ていただきたいです。
(藤山さんとこうして組むことができて)幸せ者だと思います。

藤山直美コメント
(阪本監督からのオファーは)悪魔の囁きやね。
シノプシスをいただいた時、「ついに病状もここまできたか」と(監督に言いました)。
団地は、大阪万博(1970年)の頃にたくさんできて憧れてました。小学生の時、魅力的に感じて友達に「中を見せて見せて」と言ったりしてましたね。
舞台と映画は違う事ばかりですごく難しいです。
でも映画の現場に慣れようとは思いません。分からないことはいつも監督に聞きます。そうやって「あー、やっぱり映画は難しいなぁ」って無事クランクアップができたら一番いいことですね。
ネタばらしになるので(本作の)内容は言えませんが、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

斎藤工コメント
◆本作が阪本組初参加となりますが、出演オファーを受けられたときのお気持ち、また、藤山直美さんや岸部一徳さんと共演されるにあたっての抱負震えました。本当にあの阪本順治監督の“阪本組”か、事務所に何度も確認したと思います。傑作だらけの阪本作品の中で個人的に最も圧巻だったのが藤山直美さん主演の『顔』でした。そんな阪本監督×藤山さんを軸に 岸部さん石橋さん大楠さん…邦画界のレジェンド方とご一緒出来る幸福に震えました。
が 気負い過ぎず どうにかして愉しみたいと思いました。

◆脚本を読んだ時の印象
阪本監督の頭の中を覗いてみたいと思った事は初めてではありませんが この脚本を読み 未だ嘗てない程強くその感情になりました。
全く前例が無く世界が驚き唸る物語・映画になるなと確信しました。
なので多くを語れないです。
後に 阪本監督の生い立ちや環境を伺い“成る程”と唸りました。

◆作品全体及び真城役の見所、「こんなところに期待して欲しい」というポイント“阪本組”と言う大きな船に乗ってみたらば
急に船が翼を生やし大空をギュイーンと飛び出した感じがしております。
この未知なる映画プロジェクト『団地』
無視出来ない・無視しちゃいけない邦画が誕生する自信があります。
是非とも見逃さないで下さい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa