この度、オーストラリア映画の記念碑的暴走族映画、1974 年製作の『マッドストーン』の 34 年ぶりの劇場上映と初の国内盤 DVD・BD 化が決定いたしました。
本作は、メル・ギブソン主演の大ヒット作『マッドマックス』の原型であるオーストラリア映画で、本作が無かったら『マッドマックス』は生まれていないともいえる、オーストラリア映画の重要作。日本では 1974 年の段階では輸入されず、1979 年の『マッドマックス』の大ヒットを受けて、原題は「STONE」にもかかわらずタイトルに「マッド」を冠して 1981 年に公開されました。そして『マッドマックス』的興奮を期待して観に行った観客たちは唖然・騒然、まったく異なる内容に怒りをおぼえた人々も少なくないはず。しかし『マッドストーン』は 70年代当時のオーストラリア暴走族のリアルな生態をとらえつつ、一味ちがったプロットで語られたサスペンス・スリラー。サイケな映像とロックンロール、日本製バイクの大挙登場とともに暴走族カルチャーをリアルな視点で切り取り、アメリカ産のいわゆる「バイカー映画」の系譜でも語られるべき作品です。80 年代の劇場、もしくは「月曜ロードショー」などテレビの洋画劇場での鑑賞で「ええ!??」に感じてしまった方々も、今になって見返すと、実は非常に大人な映画であることを感じて頂けるかと。でも何かがおかしい、歪なアンダーグラウンド映画であることに変わりはなく、まさに唯一無二な作品となっております。その歴史的重要度はオーストラリアの“ジャンル映画”についてのドキュメンタリー、『マッドムービーズ〜オーストラリア映画大暴走〜』(08)にて『荒野の千鳥足』(71)『美しき冒険旅行』(71)『キラーカーズ/パリを食べた車』(74)などとともに綴られており、クエンティン・タランティーノは「バイカー映画史上最も典型的かつオーセンティックなエンディング」と評して自身のキャリアにおいても非常に重要な影響を与えている作品と発言、本作の上映用プリントも購入してアメリカで自ら上映を行うなどマッドストーンマニアな動きをみせています。また『マッドマックス』との具体的な接点としては、『マッドマックス』で暴走族のリーダー“トーカッター”を演じたヒュー・キース=バーンが”ガマ蛙”、主人公マックスとカーチェイスを繰り広げた末に激突死する暴走族 “ナイトライダー”役のヴィンセント・ギルが”死神”、マックス所属のM.F.P.の隊長“マカフィー”役のロジャー・ウォードが”スケこまし”など計 5 人が本作出演をきっかけに『マッドマックス』へ出演、しかも本作の暴走族”墓掘り軍団”の中にはバッドマックス=”極道”というキャラクターが存在するなど、単に豪州映画であるという点だけでは語れない関係性があります。ちなみに”ガマ蛙”役で映画デビューを果たしたヒュー・キース=バーンは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)の LA プレミアでも『マッドストーン』のデニムジャケット(実際に映画で着用したそのもの)を着て出席している。

そんな日本ではある意味「不当な扱い」を受けた本作ですが、まさかの劇場上映がシネマート新宿にて 9/26(土)~1 週間限定レイトショーとして決定。字幕は”墓掘り軍団””ガマ蛙””葬式屋””すかしっ屁”などの素晴らしいキャラ名が多数登場する「むかしの字幕」を採用。さらに DVD が普及して20余年を経て 10/14(水)に遂に初の DVD化、あり得ない BD 化も決定。

DVD・BD共通で、字幕とは若干異なる最高キャラ”葬儀屋””穴ほり””ウシミツ””お通夜”などが登場するテレビ放送版(「月曜ロードショー」版)吹替音声も収録されます。なお、BD は高画質のための BD ではなく、大量の映像特典を収録した<墓掘りエディション>として発売。

『マッドストーン』34 年ぶりの劇場上映!!
9/26(土)〜10/2(金)シネマート新宿にてまさかのエクスプロージョン・レイトショー!!
オーストラリア映画界の裏街道・記念碑的重要作が何故かスクリーンに戻ってくる!
(キングレコード提供/日本出版販売配給)

『マッドストーン』ブルーレイ&DVD 10/14(水)発売!!
■ブルーレイ:『マッドストーン』<墓掘りエディション> KIXF-289/\4,800+税/キングレコード
カラー/ビスタサイズ/オリジナル英語/テレビ版日本語吹替/むかしの日本語字幕/本編約 99 分+映像特典
映像特典:★オリジナル予告編★ドキュメンタリー「マッドストーンよ永遠に」(1999年/62分)★メイキング(22分)
★撮影前の貴重なテスト映像(8 分)★監督コメンタリー付きスライドショー(21 分)
■DVD:『マッドストーン』 KIBF-1382/\3,800+税/キングレコード
カラー/ビスタサイズ/オリジナル英語/テレビ版日本語吹替/むかしの日本語字幕/本編約 99 分
(テレビ放送版吹替え情報)昭和 57 年 7 月 26 日(月)TBS「月曜ロードショー」版
●葬儀屋・・・津嘉山正種●穴ほり・・・池田勝●ガマ・・・長堀芳夫●ストーン・・・安原義人●死神・・・徳丸完●ウシミツ・・廣瀬正志●バイキン・・・北川米彦●お通夜・・・沢木郁也●バネッサ・・・高木早苗●ノーパン・・・塚田恵美子●タウンズ・・・岸野一彦ほか

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執筆者

Yasuhiro Togawa