この度、6月27日より公開となった『雪の轍(わだち)』。新宿武蔵野館では連日満席が続く、大ヒット公開中です!
本作は、去年開催された第67回カンヌ国際映画祭にて見事パルム・ドール大賞を受賞。上映時間はパルム・ドール受賞作品最長の3時間16分。
その長さに、審査員長を務めたジェーン・カンピオンは「上映時間を聞いたときは、トイレ休憩が必要だわ、なんてことを考えながら、みんなで観ることを怖がっていた」という。しかし「物語が始まった途端に魅了されてしまった。あと2時間は座って観ていられたでしょう!!」と絶賛しました。

日本公開にあたり、3時間16分という長尺は、配給会社にとっても一つのチャレンジ。なぜなら映画館では上映時間が短ければ、5回上映することもある中、本作品は1日3回の上映が限度だからだ。最近は、2時間を超えると長いと言われることもある中、果たして3時間を超える作品が受け入れられるのか…。

しかし、公開前には国内各メディアから「カッパドキアの風景に閉じ込められた不思議な3時間。登場人物の言葉が鋭く深く突き刺さり心が目覚めていく。必見。(週刊文春)」「長尺、大した事件のない室内の会話劇。それなのにぐいぐい引き込まれて目が離せない。(毎日新聞)」
「長く感じるどころか、片時も気がそらせない。(読売新聞)」「圧倒的な濃密さゆえに「長すぎる」と感じることはない。映画としての強度を備えた傑作である。(FUDGE)」と、映画の長さを感じないという評価が相次ぎました。
さらに、東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦氏は「長い映画は技術がないとできない。3時間越えで退屈しないのは、もう監督の魔法ですよね。」と監督の手腕を評価。
そして、公開直後よりTwitterでは「長過ぎる尺がやがて共感を呼び居心地の良さに変えてしまう魔法。」「196分ですらこの映画に没入すると短い。ベースにチェーホフとドストエフスキー、トルストイの無抵抗主義を肴に、シェイクスピアをまぶした超弩級の文芸哲学叙事映画。」
「これは面白い!3時間強?会話が終始スリリングで、誰しもに正しくなさがある上、感情移入出来るし、全く時間を感じない。
マッドマックスとは別方向の熱量。」と一般の方からは「短い」という声も出るほど。新宿武蔵野館では連日立ち見が出るほどに劇場がにぎわっています。

国内の著名人も長尺を絶賛!!
★「こんな大胆な、無謀な映画作りがあるのかとあきれながら、3時間16分の大作を身を乗り出して見た(池澤夏樹氏/作家)」
★「あきるところがない。画面の美しさ、凄さにも堪能(阿刀田高氏/作家)」
★「主人公の心の鎧を溶かすには、3時間もの長尺の物語が必要だったのだ(浦雅春氏/ロシア文学者)」
★「長い映画は技術がないとできない。3時間越えで退屈しないのは、もう監督の魔法ですよね。」(東京国際映画祭のプログラミングディレクターの矢田部吉彦氏/東京国際映画祭プログラミングディレクター)
★「こうして3時間以上セリフが延々と続く映画は、いまはどんどんアクションが進み、波瀾万丈なハリウッドのエンターテイメントが主流となっている現代において、ものすごく反時代的な作品とも思われます。だけど、一旦観ると引き込まれて戻って来られないようなすばらしい作品だと思います。(沼野充義氏/ロシア文学者)」

ほか、国内外の媒体でも!
★「美しく、長い物語は、徐々に抽象性を失い、骨の髄にこたえるものになっていく(ソー・フィルム)」
★「その長さに怖気づいてはならない。これは雄大な映画なのだ。(TF1ニュース)」
★「決して長いとは感じない。世界遺産カッパドキアの風景と緻密な脚本によって構築された世界に引き込まれるからだ。(月刊宝島)
★「ひとつの世界を俯瞰したパノラマ的迫力に満ち、(ディス)コミュニケーションの緊迫感で3時間強の長尺が全く緩まない。(TVBros.)」
★「知的で、濃密で、深遠な作品なのである。3時間16分という長尺なのに全く時間を意識させない(FLIX)」
★「その世界に入り込むと、まったく違和感を覚えない。むしろ自分が登場人物と同じ呼吸を始めたことに気付く。(CUT)」

ちなみに、なぜ『雪の轍(わだち)』が長いのかについて監督は…
「シナリオを書き上げた瞬間から、どうなるかは分かっていました。163ページもありましたから。しかしそれは私にとっては大したことではなかったのです。
私には作家と同じ自由がなければなりません。作家は執筆中、自分の小説が何ページになるかは気にしません。監督に、90分になるのか100分になるのか制限を要求するのは、商業的な配慮に過ぎません。私はそんなことを気にしたことはありませんし、それに冒険はもう始まってしまっていたのですから。」(監督インタビューより)

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執筆者

Yasuhiro Togawa