本年のゴールデングローブ賞外国語映画賞、昨年のカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされ、世界中の映画祭を席巻している、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督最新作「Leviathan」の日本公開タイトルが『裁かれるは善人のみ』に決定いたしましたのでご報告いたします。本作は10月下旬に新宿武蔵野館ほかにて公開いたします。

衝撃的! 『裁かれるは善人のみ』は傑作中の傑作だ。——ル・フィガロ
現代ロシアの容赦ない批判。かつ、感動的なひとりの人間の軌跡だ。——クロニカール

デビュー作『父、帰る』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したアンドレイ・ズビャギンツェフ監督。
その後も発表する作品が常にカンヌを賑わせている。本作も去年のカンヌを大いに沸かせ脚本賞を受賞、その後も世界中の映画祭で巨大な怪物のように見る者を圧倒し、熱狂させ、記憶に傷跡を残し、席巻している。
ロシア北部の荒涼とした小さな町を舞台に、そこで暮らす善なる市井の人々と、権力を振りかざして土地の買収をもくろむ行政との対立を描く。
そこから端を発し、数珠繋ぎのように悲劇的に綻んでいく人間模様——。
アメリカで起こったマービン・ヒーメイヤー事件、「ヨブ記」、「ミヒャエル・コールハースの運命」、トマス・ホッブズ著「Leviathan」……
数々の書物と現実の事件にインスパイアされ生まれた『裁かれるは善人のみ』はロシアを舞台としながら、世界のどこでも起こっている善と矮小な人間の欲から生まれた悪を描きだす。罪のない人に降りかかる、抗っても決して勝つことのできない非情な程の困難。秀逸な構図と、ロシアの広大で荘厳なロケーションが、人と国家と神、そして悪についての深淵で普遍的な物語を際立たせる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa