生々しいバイオレンスと容赦なき世界でのサバイバル。イギリスからジャンル映画の定型や常識を覆す傑作が登場した。『猟人日記』『パーフェクト・センス』などで高い評価を得た気鋭デヴィッド・マッケンジー監督が、闇の暴力に支配された刑務所を舞台に、ひとりの愛を知らない不良少年が初めて生きる希望を見つけていくさまを骨太かつ鋭利なリアリズムで鮮烈に描く『Starred Up』の邦題が、『名もなき塀の中の王』となり10/10(土)より、K’s cinemaほかにて全国ロードショーの運びとなりました。

これは暴力でしか自らの存在を示すことができない囚人たちの業や運命を描く痛切なサバイバルドラマであり、未熟な少年が仲間を得て現実の調和を学んでいく通過儀礼的な成長物語であり、また再会した父と息子が失われた絆を回復させていくヒューマンドラマでもある。世界最大の批評家サイト「ロッテン・トマト」では、『6才のボクが、大人になるまで。』に並ぶ驚異の満足度99%を記録。世界各国の映画祭にて多数受賞し、多くの批評家を唸らせた。

主演のエリック役には期待の新星、ジャック・オコンネル。本作で凶暴さと繊細さを併せ持つ爆弾のような少年をひりひりと演じきり、「新しいスターの誕生」と各方面から絶賛を受けた。そして刑務所内で生き別れていた息子エリックと再会し、不器用ながら親としての愛情を注ごうとする父親ネビル役には『ダークナイト ライジング』や『アニマル・キングダム』などで国際的に活躍するベテラン俳優、ベン・メンデルソーン。また物語のキーパーソンとなる、ボランティアで囚人たちの更正に尽力する心理療法士オリバー・バウマー役には『プライドと偏見』などのルパート・フレンドが脇を固める。ロケは英国北アイルランドのベルファストに実在するクルムリン・ロード刑務所で行われた。

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執筆者

Yasuhiro Togawa