俳優の染谷将太が第 14 回ニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター賞を受賞。
現地時間 7 月 4 日、授賞式に登壇しました。また、受賞対象作品『さよなら歌舞伎町』『TOKYO TRIBE』のニューヨークプレミアが同日行われ、『さよなら歌舞伎町』上映終了後に南果歩、廣木隆一監督とともに登壇し、観賞後の観客の反応を直に受ける Q&A を実施しました。

第 14 回ニューヨーク・アジア映画祭 ライジング・スター賞授賞式、『さよなら歌舞伎町』上映後 Q&A
日程/7 月 4 日(土) 会場/リンカーンセンター ウォルター・リード・シアター
登壇者/染谷将太、南果歩(※Q&A のみ)、廣木隆一監督(※Q&A のみ)
授与者:ティム・グリアソン氏(スクリーン・インターナショナル)
MC:サミュエル・ジャミエ氏 (NY アジア映画祭 共同ディレクター)

現地日程 6 月 26 日〜7 月 11 日で開催中の第 14 回ニューヨーク・アジア映画祭において、これからの活躍を期待する若手俳優に贈られる<ライジング・スター賞>を受賞した染谷将太が、現地時間 7 月 4 日、ライジング・スター賞授与者であるスクリーン・インターナショナルのティム・グリアソン氏とともに授賞式に登壇し、満席の観客席から盛大な拍手で迎え入れられた。そしてトロフィー授与の後、喜びのコメントを述べた。

◆授賞式コメント全文
<ティム・グリアソン氏コメント>
スクリーン・インターナショナルは、去年からこの賞を授与していますが、今年は染谷将太さんに贈ることができて特に幸せです。去年は『永遠の 0』がここで上映されましたが、今年は彼の出演映画が 2 作品上映されます。『さよなら歌舞伎町』と『TOKYO TRIBE』です。
日本で大忙しの彼を今夜ここに迎えることができて光栄です。彼は既に素晴らしいキャリアを築いていますが、今後も素晴らしい演技を楽しみにしています。

<染谷将太コメント>*すべて英語でコメント
この賞を受賞し大変光栄です。
演技の道を極めて、今後も多くの映画に出演していきたいと思っています。
本日はお招きいただきありがとうございます。

◆上映後 Q&A
MC のサミュエル・ジャミエ氏が染谷将太、廣木隆一監督をステージ上に呼ぶと大きな拍手で迎えられた。
<冒頭>(MC)
南果歩さんは遅れての参加となります。皆さん映画は楽しんでいただけましたか?
【客席から拍手】
<質問1>(MC)
映画の中で‘ラブホテル’がどういう場所なのかを観てもらいましたが、どのように説明すればいいでしょうか?
廣木監督:It’s difficult. *最初に英語で「それは難しいですね」。
ラブホテルはすごく素晴らしいところです(笑)
シティホテルとビジネスホテルとラブホテルがあって、ラブホテルは時間単位で部屋を貸してくれる。
だからセックスをするのか、ただ泊まるのかは人それぞれで、説明するのが難しい。
アメリカで言うとモーテルでしょうか。

MC:モーテルはラブホテルほどセクシーだとは私は思いませんが(笑)
<質問 2>(MC)
では映画のストーリーの話をしましょう。脚本は荒井晴彦氏が書いていますが、お二人はどのようにこの脚本と関わった
のですか?
廣木監督:僕は荒井さんと『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』『さよなら歌舞伎町』の3本やっていますが、僕はロバート・アルトマンが本当に好きで、群像劇をすごくやりたかったので嬉しかったですね。
染谷:最初、廣木さんのご友人から電話をいただき「廣木さんと荒井さんがピンク映画を撮るんだけど出ないか?」というお誘いがありました。日本では最近ピンク映画が撮られていないですし、お二人が撮るピンク映画って、映画ファンとしては楽しみだなと思い脚本を読ませていただきました。すごい愛情に溢れている脚本で、その本に惚れこみ、是非出演したいと思いました。

<質問 3>(MC)
歌舞伎町という特別な(特徴のある)エリアでの撮影は大変そうですが、どのように撮影したのですか?
廣木監督:撮影現場を担当しているプロデューサーが、まず新宿警察署に話をしに行きました。警察にもどうもできないところもあるから、気を付けて撮影しなさいと言われましたが、パトロールを増やしてくれたのでスムーズに撮影できました。

<質問 4>(MC)
染谷さんに質問です。廣木監督のこれまでの作品についてはご存知でしたか?
染谷:そうですね。『ヴァイブレータ』など大好きな作品は一杯あります。

<質問 5>(MC)
色々な監督と仕事をされているかと思いますが、廣木監督のユニークなところはどこでしたか?園子温監督や三池崇史監督とも仕事をされているかと思いますが。
廣木監督:やっぱ一番好きなのは廣木監督?
【会場笑】
染谷:もちろんです。(笑)
廣木さんは役者に託してくれます。ヒントを役者に与えて、あとは場を利用して好きにやってくれ、表現してくれ、というスタンスの監督です。でも廣木さんが求めているものが出るまではとことん演じるので、2 週間という限られた時間でしたがたくさん演じました。

<質問 6>(MC)
キャストについてお尋ねします。前田敦子さんとの仕事はどうでしたか?
廣木監督:タイトなスケジュールの中でやっていましたが、その中で前田さんは TV 撮影の合間を縫って来てくれました。
他の役者さんも 1 日、2 日のスケジュールでやってくれましたね。

<質問 7>(MC)
染谷さんにお尋ねします。インディペンデント作品とメジャー作品、どちらにも出演されていますがどちらが好きですか?
染谷:どちらも好きですね。でも雇われ仕事なので、それは運任せです。(笑)どちらも演じたいですが。

<質問 8>(MC)
特にやりたい役はありますか?
染谷:そうですね。夢のある役を演じたいですね。
MC:具体的に言うと?
染谷:ファンタジーであっても、現実的なリアリティドラマであっても、何か夢を持っているとか、何か希望的なものを感じられるか。そういう役はすごく楽しいですね。

<質問 9>(MC)
廣木監督にお尋ねします。染谷さんとの仕事はどうでしたか?
廣木監督:染谷は、日本の俳優も中でもすごく稀有な役者なんですよ。
普段はこうやって居るんですけど、芝居をすると変わる稀有な役者です。稀有っていうのは良い意味で。
【ここで南果歩が会場に到着】

<質問 10>(MC)
南さんにお尋ねします。監督との仕事はどうでしたか?
南:
廣木監督はマジシャンみたいなんです。
タイトなスケジュールだけど、そんなことは忘れてしまうほど、凄く豊かな時間でした。
予算や時間に関係なく、とても充実した映画づくりができたと思います。

<質問 11>(観客)
続けて南さん。撮影現場の雰囲気はどうでしたか?
南:
監督はファーストテイクがお好きとおっしゃっていたけど、私たちが自転車で走るシーンでは、監督も実際に追いかけてきていて最終的には監督も映り込んでしまってNGになったこともありました。

<質問 12>(観客) ※最後の質問
音楽のつじあやのさんについて聞かせてください。
廣木監督:
彼女は大人向けの作品は初めてでしたが、ラブホテルにピクニックしに行くような曲を書いてほしいとお願いしました。
【会場笑】

【第 14 回ニューヨーク・アジア映画祭 2015 年 6 月 26 日〜7 月 11 日(現地日程)】
今年で 14 回目となるニューヨーク・アジア映画祭(NYAFF)は、ニューヨーク・タイムズ紙が「最も価値のあるイベント」と評する北米有数のアジア映画祭。これからの活躍を期待するアジアの若手俳優に贈られるライジング・スター賞は、日本ではこれまで 2011 年(第 10 回)に『ミロクローゼ』の山田孝之、2012 年(第 11 回)に『モテキ』の長澤まさみが受賞。昨年は『私の男』の二階堂ふみが受賞している。

『さよなら歌舞伎町』ブルーレイ&DVD 2015年 8 月 4 日(火)レンタル開始/9 月 3 日(木)発売
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執筆者

Yasuhiro Togawa