映画史を変えた世界初の長編フルCGアニメーション『トイ・ストーリー』以来、世界中に驚きと感動を贈り届けてきたディズニー/ピクサー。そのピクサー長編アニメーションの20周年を記念して贈る待望の最新作『インサイド・ヘッド』が、6月19日(金)に全米3,946館で公開し、公開3日間の興行収入が90,440,271ドルという爆発的な大ヒットスタートを記録した。(BOXOFFICEMOJO調べ/6/22現在)。原作/原案/シリーズ作品ひしめく映画作品において、“完全オリジナルの映画”でここまでの動員は実写作品の『アバター』以来。これまで1位だった『アバター』の7,700万ドルを大きく引き離し、“完全オリジナル映画”の全米オープニング歴代No.1の記録を塗り替えた。また、続編を除く、ディズニー/ピクサー・アニメーション映画でも歴代No.1(続編を除く)となるオープニング成績。全米批評家サイトRotten Tomatoesのトップ批評家による評価では、異例の100%〜98%というフレッシュの高評価を維持、世界中で多くの絶賛評が飛び交っている。

既に日本語吹替版には、ピクサー初の女性コンビとしてタッグを組む竹内結子、大竹しのぶが決定していることでも大きな注目を集めているが、そんな中、さらなる盛り上げとして、本作のキーとなる重要なカギを握るキャラクター<ビンボン>の声を、TVや映画、舞台などで引っ張りだこな俳優・佐藤二朗さんが演じている情報が解禁となった。

今回、佐藤二朗さんが担当するのは、幼い頃のライリーが空想で創り上げた“空想上のともだち”<ビンボン>。ディズニー/ピクサー映画初の女性コンビ主人公となるヨロコビ、カナシミが、頭の中の司令部から放り出された先で出会う物語の重要なカギを握るキャラクター。3歳のころ、動物にはまっていたライリーが大好きな動物を掛け合わせて創り出した最初の友達という設定だ。見た目は猫や象で綿あめのような肌感、さらに鳴き声はイルカで、涙がキャラメル味のキャンディと、そのカラフルでインパクトある特徴と、かわいらしい動きに見た人が釘付けになることは間違いない。そして、劇中で非常に重要なシーンにかかわっているというから、いまだベールに包まれたその役割に大きく期待が膨らむ。

ヨロコビ、カナシミと一緒に頭での大冒険を繰り広げる姿が予告編にも登場しているビンボンだが、その声を一体誰が演じているのかは謎のままだった。それが、一見ビンボンの外見から対極にあるかのような個性溢れる演技で注目を浴びている佐藤二朗というのは驚き。ディズニー担当者は「幼いライリーが空想で創り出した純真無垢な友だちがビンボンというキャラクターです。佐藤さんの演技が、ビンボンの無垢で子供のように純粋な声を表現されていたこと、また、大きく包み込むような優しさが決め手となり、たくさんの候補の中からビンボン役を佐藤さんに決定いたしました」と起用理由を語る。

声優初挑戦となる佐藤さんは「普段はふくみのある役や、ひねくれ役、または思慮深い役が多いので、〈ビンボン〉のように本当に童心いっぱいの素直な役は今までやったことがない。まったく初めての挑戦でした。今まで役者で映画とかドラマとか色々な役をやってきたけど、初めての純粋な役柄という意味以外にも〈ビンボン〉には勉強させてもらった」と、従来の演技表現とは異なり、身体や表情の演技を削がれた声優自体への難しさもコメントしている。
また、劇中では、佐藤さん演じる〈ビンボン〉が非常に重要な場面で披露する歌にも要注目だ。声優も初挑戦のなか、演技をしながらの歌にも初挑戦した佐藤さんは「100回くらい歌えば1回くらい合うだろうという気持ちで挑みました。(笑)なんどもやり直したので、いっそディズニーさんの方でなんとかしてくれって思ったくらいですよ。(笑)」と、いつもの演技とは違った、声優自体への難しさもコメントしている。

長編CGアニメーション第一作目の「トイ・ストーリー」から昨今の「アナと雪の女王」「ベイマックス」など、日本語吹替版のクオリティの高さに定評があるディズニー/ピクサーの日本語吹替版。先日行われた来日記者会見でも話題を集めたヨロコビ=竹内結子さんとカナシミ=大竹しのぶさんの声優起用に次いで、大きな注目を集めることは間違いなし。さらに、各方面に引っ張りだこの佐藤二朗さんが初披露する歌にも期待が高まる『インサイド・ヘッド』。日本の公開は7月18日(土)となります。ぜひご期待ください。

佐藤二朗さん コメント

Q:初めての吹替声優(歌含めて)に挑戦するに辺り、心がけた点がありましたら教えて下さい。
とにかく童心にかえる、ということを心がけました。なるべく感情のふり幅を大きく持つようにしました。楽しい時は本当に楽しいし、悲しい時に本当に悲しいし、というふり幅を、大人になった自分とは比べて100倍200倍のふり幅でやって表現してみたいなと思いました。普段は人よりふくみのある役や、ひねくれていたりとか、わりと思慮深い役が多いんです。ビンボンのように童心のような素直な役というものは普段やったことがないので、その点は気を付けました。今まで役者で映画とかドラマとか色々な役をやってきましたが、初めての役柄でしたね。

Q:これまでの演技のご経験は、どんな形で今回の吹き替えに活かされたでしょうか。また、歌への挑戦はいかがでしたか?
「俳優」という職業が、他の仕事と違うのは、なるべく積み上げない事だと思ってるんですね。俳優は積み上げることでその意識が邪魔してしまう事があり、前の現場はこうだったのに、違うじゃん!」と思える原因になってしまうんです。
感情のふり幅、発狂する時は発狂する、怒る時は怒る、笑う時は笑う、そういう演出は俳優自身が必ずやらなくてはならない事ですし、きちんと感情を表現する、違うのは俳優のいろはのいではあるので、そこは活かされてると思います。
歌は、本当に大変でしたね。100回くらい歌えば1回くらい合うだろうという気持ちで挑みました(笑)。なんどもやり直したので、いっそディズニーさんの方でなんとかしてくれって思ったくらいですよ(笑)。しかも、その歌が出るのが大事なシーンなんですよね。

Q:今回演じられたビンボンは物語におきな影響を与える非常に重要なキャラクターですが、演じてみて感じたこと、キャラクターを通して伝えたかったこと、表現したかったことを教えて下さい。
ビンボンに限定したことではないのですが、とても大人に響く映画だと思いました。なので、「あーそっか!」って思うようなことを伝えたかったです。「子供の頃、なんにも考えないで笑ってたな〜」と思えるような、あの頃の澄んだ心を思い出せるような演技をしたかったです。あと、この作品の純粋な感想なんですが、世の中って公平では決して無いし、理不尽もたくさんあるじゃないですか。そんな理不尽に対しても腐らずに頑張るということがひとつのメッセージだと思うんです。そういう意味で、カナシミも必要だというのはすごく良いテーマですよね。人生経験を積んだ大人の心にこそ響く作品だと思います。

<佐藤二朗さん プロフィール>
愛知県出身。俳優、脚本家、映画監督。脚本・監督をつとめた映画「memo」(08)が湯布院映画祭の招待作品となる。
初主演映画「幼獣マメシバ」(09)が好評を博してシリーズ化、現在4作品が公開されている。
多数のテレビ・ドラマ、映画に出演する一方、「家族八景Nanase、Telepathy Girl’s Ballad」(12)、「だんらん」(13)など、
テレビ・ドラマの脚本も執筆している。

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執筆者

Yasuhiro Togawa