6/20(土)大阪市中崎町にあるCO2事務局にて第12回CO2の説明会が開催された。

 今年で12回目を迎えるCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)。
2005年の開始から、これまでに 45 の映画作品へ助成を行い、山田雅史(『コープスパーティー』監督/第1回助成作品『堤防は洪水を待っている』)、吉田浩太(『スキマスキ』監督/第2回助成作品『お姉ちゃん、弟といく』)、石井裕也(『バンクーバーの朝日』監督/第3回助成作品『ガール・スパークス』)、横浜聡子(『ウルトラミラクルラブストーリー』監督/第3回助成作品『ジャーマン+雨』)、三宅 唱(『Playback』監督/ 第6回助成作品『やくたたず』)、石原貴洋(『大阪外道』監督/第6回助成作品『バイオレンスPM』)、リム・カーワイ(『Fly Me to Minami〜恋するミナミ』監督/第7回助成作品『新世界の夜明け』)他、数々の映画制作者を輩出してきた。今年の募集概要は下記のとおり。

■募集締切■
2015年7月13日(月)必着

■募集内容■
全国の新人映画作家を対象に、大阪を撮影地とするオリジナルの劇映画企画案を募集。選考された企画案を持つ映画作家3名に対し下記の助成を行います。助成作品として認められた作品は、第11回大阪アジアン映画祭の審査通過後、同映画祭で上映されます。

■助成内容■
◎助成金:60万円(主に大阪府内で撮影することを条件とする)◎機材協力 等

■選考委員■
いまおかしんじ(映画監督)、元木隆史(映画監督)、山崎紀子(シネ・ヌーヴォ支配人)、吉田浩太(映画監督)、ローランド・ドメーニグ(映画研究家)

■第12回シネアスト・オーガニゼーション大阪助成企画応募要項 http://co2ex.org/bosyu/

 昨年から俳優特待生制度を導入したCO2。俳優の育成にも力を入れ、映画制作者=映画制作に関わる全ての人材を対象としたワークショップを今年も開催する。

第12回CO2ワークショッップ
【俳優ワークショップ】http://co2ex.org/actor/
【脚本ワークショップ】http://co2ex.org/screenplay/
【映画基礎講座】http://co2ex.org/basic/
【企画・脚本集中講座】http://co2ex.org/specialscreenplay/
【俳優・演出集中講座】http://co2ex.org/specialactor/
【こども映画くらぶ】http://co2ex.org/movieclub/
【映画列車〜1分映画を作ろう〜】http://co2ex.org/cinematrain/

●企画を通すポイントとは?
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 CO2事務局の金井塚さんは、映画制作の助成金制度が様々な地方自治体や映画祭などで幅広く行われるようになった現在において、CO2に参加する利点についてこのように語った。
「企画から脚本のバックアップは何処よりも強いと思います」

富岡事務局長は、企画を通すポイントについて、
「どんな物語か分かるように最後まで書くこと」
「人と話すことは大事。企画を書いた段階で、映画制作の関係者以外、例えば自分のお母さんに見せて“これ面白いと思う?”って聞いてみる。“分からへんわ”と言われたらその段階で見直すしかない。『すべらない話』くらいの長さでいいんですよ。最初のつかみの部分が大事。そして企画の内容をちゃんと説明できること。今後プロとしてやっていくかどうかは別として、色々な人に“ここがこう面白い”と説明できないと撮れないですよ。“私こういうのが好き”では、“そうですか”で終わります。少なくとも助成金を貰って、自分でもお金を集めてやろうというのだから、最低限人に説明できないとダメだと思います。映画は、他者とのコミュニケーションが取れるかということが作品のクオリティにも関わってくる。そこを忘れないで欲しい」

 応募企画が何本かに絞られた後、最終プレゼンは基本的に1人対選考委員といった図で行われる。
「選考委員が突っ込み入れてきますから。“そこはどうしてそういう行動するの?”“おかしいんじゃないの?”って。登場人物の関係図を描いて説明してもらうから。選考に関してはいくつかポイントがあって、プレゼンが全てではないけど大きなチェックポイントではあります」

 金井塚さんは、
「その時選考委員から出た話に応募者がどう反応したかも選考委員の皆さんは見ています」と補足。

 またCO2参加に当たってはスケジュール管理も需要だ。
「大阪アジアン映画祭で上映するために1月末に作品完成することが必要。逆算して動いてもらうことが必要です。8月末に企画が通ったと分かってから1月末に完成するために、脚本はいつまでに上げて撮影はいつまでに入るのかを考えないと」

 脚本は第1稿を上げてから書き直しがある。ちなみに第10回助成作品『螺旋銀河』(監督:草野なつか)では、草野さん、途中から脚本として参加した高橋知由さん(『不気味なものの肌に触れる』(’13/監督:濱口竜介)脚本など)が10数稿に渡って取り組んだという。

 助成企画の選考は選考委員によって行われるため、事務局には選考の権利は無い。そのため企画に対して率直に意見が言えることから、応募者からの企画相談も歓迎される。応募を予定している方はぜひ事務局に足を運んで欲しい。希望する人に向けて、3日間に渡って富岡事務局長が講師を務める企画・脚本集中講座も開催される。

■映画漬けの3日間で人に届く企画を考えましょう!
【企画・脚本集中講座】
日程:6/26(金)〜28(日)
時間:10:30〜22:30
場所:CO2運営事務局 http://co2ex.org/access/
料金:15,000円/3日間
申込み http://co2ex.org/specialscreenplay/

●通過点としてのCO2!
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 最後に説明会開催中に所用で来局した、去年のCO2俳優特待生で『デュアル・シティ』に出演した馬渕智未さんが、急遽説明会参加者の前に立った。
CO2俳優特待生オーディションを知り合いのフェイスブックを通して知って応募し、特待生5人の1人として選ばれた馬渕さん。大阪芸大で舞台の勉強を四年間してきたが、映画に関わったのはこれが初めてだった。
「CO2はバックアップが凄くて映画の勉強やお芝居の勉強させて頂いて、こうやって映画にも出させて頂きました。
大阪アジアン映画祭に出たことで海外のプロデューサーの方、監督さんたちとも交流ができたり、今後の自分に繋げられる場所でした」と語った。

 第10回助成作品『螺旋銀河』(監督:草野なつか)は国内外の映画祭で受賞を果たし、大都市としての大阪の新たなイメージを構築した第11回助成作品『デュアル・シティ』(監督:長谷川億名)は、ドイツで開催された【ニッポンコネクション2015】においてニッポン・ヴィジョンズ審査員特別賞を受賞した。なおニッポン・ヴィジョンズ審査員賞 2015は『THE COCKPIT』、第6回助成監督の三宅唱監督だ。

 このように様々な形で海外へと展開を広げているCO2経験者は多数存在し、昨年公開された妻夫木聡主演『バンクーバーの朝日』の石井裕也監督は、第一線での活躍ぶりも目覚しい。

 CO2事務局の金井塚さんによると
「基本的にCO2を利用するつもりで考えてもらったら」
CO2はゴールではなく、通過点に過ぎない。様々な制約と闘いつつ、映画の面白さを追求出来るシネアストとしてのタフさ柔軟さを身に付ける場として挑戦してほしい。

(Report:デューイ松田)

執筆者

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