文化芸術の街「上野」と喜劇発祥の地「浅草」を舞台に繰り広げられるコメディ映画の祭典「したまちコメディ映画祭in台東」(略称したコメ)。今年も2015年9月18日(金)〜22日(火・祝)に「第8回したまちコメディ映画祭in台東」の開催が決定いたしました。「したコメ」は、東京随一の下町(したまち)の魅力をコメディ映画を通じて存分に味わっていただく、いとうせいこう総合プロデュースのコメディ映画祭です。
「映画(Cinema)」「したまち(Down town)」「笑い(Comedy)」という3つの要素を掛け合わせることで、映画人、喜劇人、地元の皆さん、映画・喜劇を愛する皆さんが一体となって盛り上がれる、他にない魅力を持った、住民参加型の映画祭となっています!

『ビートたけし』“笑い”の殿堂入り
毎年「したコメ」では多年に渡り“笑い”を通して多くの人々を楽しませ元気にしてくれたコメディアンやコメディに関わっている方に敬意を表し「コメディ栄誉賞」をお贈りしています。第1回小沢昭一、第2回コント55号、第3回谷啓、第4回伊東四朗、第5回ザ・ドリフターズ、第6回堺正章、第7回西田敏行という錚々たるメンバーに続き、末広がりの第8回目を迎える今年の「コメディ栄誉賞」はお笑い芸人・映画監督・俳優・テレビと多方面で活躍するビートたけし氏に授与させて頂きます。
「コメディ栄誉賞」受賞に合わせ、ビートたけしの故郷とも呼ばれる伝説の演芸場 東洋館にて、監督・出演作『菊次郎の夏』(1999年)の凱旋リスペクト上映と、本編上映前の舞台挨拶も決定いたしました。日本を代表するお笑い芸人“ビートたけし”の凄味に迫ります!

『菊次郎の夏』監督:北野武
(1999年/日本/121分/バンダイビジュアル・TOKYO FM・日本ヘラルド映画/オフィス北野)
【ストーリー】
祖母の元に預けられていた少年・正男(関口雄介)は、夏休みを利用して写真でしか見たことがないお母さんに会いに冒険旅行を決意する。だが正男を心配した近所のおばさん・美紀(岸本加世子)は、旅のお供に夫の菊次郎(ビートたけし)を同行させることに。ところが、いい加減な菊次郎は旅費をギャンブルで散財したり、ヒッチハイクで運転手とケンカしたり・・・。てんやわんやで始まった二人の母親探しの旅は、はたしてどうなる?
(C) 1999 バンダイビジュアル・TOKYO FM・日本ヘラルド映画/オフィス北野

今回、したコメでは、“コメディアン・ビートたけし“にスポットをあて、ビートたけしリスペクト上映を行うとともに、コメディ栄誉賞を表彰させていただく次第です。以下、受賞コメントになります。

このたびは、お笑い芸人・ビートたけしと映画監督・北野武のキャリアの両方に
対してご評価頂いたという事だと受けとめていますが、自分のコメディアンとしての、また芸能活動の出発点である浅草での受賞ということで、いただけるものは何でもいただく私ではありますが、とりわけ大きな喜びがあります。
この映画祭での受賞を励みとしてより一層精進して参りたいと思います。

ビートたけし(68)プロフィール
1947年、東京都足立区生れ。浅草フランス座で芸人修行中に知り合ったきよしと漫才コンビ「ツービート」を結成。漫才ブームを作り出し一躍人気者となる。その後ソロとして、テレビやラジオの出演、映画や出版の世界などで国民的な活躍を続けている。映画監督「北野武」としても海外に多くのファンを持ち、世界的な名声を博す。1997年には『HANA-BI』でベネチア国際映画祭グランプリを受賞。監督最新作『龍三と七人の子分たち』が、大ヒット公開中。

■東洋館とは…?
ビートたけしの“故郷”とも呼ばれる伝説の演芸場です。
歴史あるフランス座の名前でも有名な東洋館、正式名称は「浅草フランス座演芸場東洋館」。

「浅草東洋館」の歴史は、昭和26(1951)年に開業した「浅草フランス座」に始まります。
ストリップ劇場であった浅草フランス座には、かの永井荷風も熱心に通っていました。気前の良い永井荷風は、踊り子たちに非常に人気があったといいます。また、ストリップの合間にコントなどの軽演劇を上演していました。これが評判になり、昭和34(1959)年に「東洋劇場」が生まれることになります。

東洋劇場の舞台では、渥美清、長門勇、由利徹、東八郎などがコメディを演じ、人気を博しました。
また、東洋劇場のオープンとともに、浅草フランス座がビルの4 階と5 階に移動しました。同時にエレベーターが設置されたのですが、後にエレベーターボーイとして雇われるのがビートたけしでした。

現在は色物(漫才、漫談など)を中心とした演芸場。建物を同じくする姉妹館・浅草演芸ホール(落語中心の寄席)とともに、歴史ある浅草お笑い文化の一角を担う存在です。

■「コメディ栄誉賞」受賞者
2008年(第1回):小沢昭一
上映作品:『大当たり百発百中』『しとやかな獣』『“エロ事師たち”より人類学入門』
2009年(第2回):コント55号
上映作品:『コント55号世紀の大弱点』『コント55号俺は忍者の孫の孫』『俺は眠たかった!!』
2010年(第3回):谷啓
上映作品:『クレージー黄金作戦』『喜劇 泥棒大家族 天下を盗る』『図々しい奴』 
『ニッポン無責任時代』『日本一のゴリガン男』『喜劇負けてたまるか!』『イチかバチか』
2011年(第4回):伊東四朗
上映作品:『THE 有頂天ホテル』『スーパーの女』『進め!ジャガーズ敵前上陸』
2012年(第5回):ザ・ドリフターズ
上映作品:『ズンドコズンドコ全員集合!!』『ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓』
『舞妓はんだよ全員集合!!』
2013年(第6回):堺正章
上映作品:『街の灯』『ザ・スパイダースの大進撃』、『ペ子ちゃんとデン助』(関連作品)
2014年(第7回):西田敏行
上映作品:『釣りバカ日誌』(第1作)

「第8回したまちコメディ映画祭in台東」
2015年9月18日(金)〜22日(火・祝) 開催!

執筆者

Yasuhiro Togawa