この度、トルコが誇る巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作『雪の轍(わだち)』が6月27日(土)より、角川シネマ有楽町および新宿武蔵野館ほか全国順次公開致します。本作は、去年開催された第67回カンヌ国際映画祭にて見事パルム・ドール大賞を受賞致しました。本作を一足早くご鑑賞下さった著名人の方から、「近年、ダントツで観るべき映画!」(行定勲監督)、「こんな大胆な、無謀な映画作りがあるのかと呆れながら、3時間16分の大作を身を乗り出して見た。」(池澤夏樹さん)、「原作を超える驚くべき映画世界を創り出した。」(沼野充義さん)、「登場人物たちの語り合う言葉が互いの身体に穴を穿ち合うようで実に迫力がある。」(江守徹さん)、「一生忘れない映画になるにちがいない!」(大森立嗣監督)、「「言葉」と「沈黙」で綴られた、なんと雄弁な劇!」(栗山民也さん)などなど、日本劇場初公開となる本作への熱のこもった大絶賛の声が到着しました!
本作は、文豪・チェーホフの作品をモチーフにした作品ということもあり、作家・劇作家・ロシア文学者など様々な分野の方から多数コメントをお寄せ頂きました。

<著名人から寄せられた、絶賛コメントの数々!>
■世界を代表する監督たちがジェイランの才能に嫉妬した!
本作で最も印象深いのは、その“広がり”だ。
人間性や生きることを広い視野でとらえている。
—ジャ・ジャンクー(映画監督)

知的で洗練された、素晴らしい作品。
あまりに引き込まれて3時間の映画であることを忘れてしまった。
この世界にもっと身を浸していたかった!
—ジェーン・カンピオン(映画監督)

あまりにも素晴らしかった。
この映画の素晴らしさを正確に伝える正しい言葉が見つからない。
人間の綻びから零れ落ちたモノが私に重くのしかかっているからだろう。
近年、ダントツで観るべき映画。
—行定勲さん(映画監督)

生ぬるい日本映画に飽きているなら、この映画を観ればいい。
人生の大事なものに触れてくる一生忘れない映画になるにちがいない。
—大森立嗣さん(映画監督)

■文豪たちも、作品のもつ文学性に唸った!
こんな大胆な、無謀な映画作りがあるのかと呆れながら、3時間16分の大作を身を乗り出して見た。
この映画を駆動しているのは圧倒的な台詞の力だ。これほど緻密に構築された言葉のやりとりを映画で聞いたことはなかった。
言葉に容赦がない。どこまでもお互いを追い詰めて力を抜かない。
こういう徹底した言葉の闘いを日本人はできるだろうか。
—池澤夏樹さん(作家)

奇岩立ち並ぶカッパドキアでチェーホフとドストエフスキーが響き交わす。
ロシア文学を愛するトルコの監督が、原作を超える驚くべき映画世界を創り出した。
—沼野充義さん(ロシア文学者)

カッパドキアの風景もさることながら、室内の空間設計の美しさに息をのむ。
静謐な画面にそっと差し出される「悪への無抵抗」の議論。
時代錯誤とも思える議論に主人公はさいなまれる。
だが、その先には一条の光……。
主人公の心の鎧を溶かすには、3時間もの長尺の物語が必要だったのだ。
それと同時に、観客は、これが最良の意味での「言葉のドラマ」だと納得する。
—浦雅春さん(ロシア文学者)

夫と妻、兄と妹、富める者と貧しい者、信仰を持つ者と持たない者、日常的な思案・感情の
くいちがいが入念に展開され、あきるところがない。画面の美しさ、凄さにも堪能。
—阿刀田高さん(作家)

引用されるシェイクスピアはリチャード三世の開戦の弁だ。
美しいカッパドキアの自然の中で展開される知的な葛藤は、不戦と許しという
今まさに緊急な問題の核心を衝く。
—河合祥一郎さん(東京大学教授/シェイクスピア研究)

この濃くて悲しくて度し難い登場人物たちは、
私の胸から一生消えないだろう。
—中島京子さん(作家)

人間みんなもろくて弱いけど、人生そんなに悪いものじゃない。
雪に閉ざされた世界は重いけれど美しい。光あるラストに胸打たれる。
—澁澤幸子さん(作家)

■演劇的なストーリー展開に、劇作家も太鼓判!
純粋に見えて狡猾、狡猾に見えて手抜かり。
生活の充足を求め、思考し行動する人たちに射す光と影。
悪に対して自覚的であろうとする彼らの姿がそのまま日々の我々の姿を映し出す。
大いなる喜劇!!
それでもやっぱり誰も悪くはないと人生を肯定するか、
キミは、観客席で!
—岩松了さん(劇作家)

「言葉」と「沈黙」で綴られた、なんと雄弁な劇なのだろう。
多くの忘れていた感情が、熱く息をし始めたようだ。「幸せ」を必死で求める人間たちは、どこまでも喋り続ける。
—栗山民也さん(演出家)

■ベテラン俳優陣からも絶賛の声!
これは舞台なのか?
世界遺産カッパドキアで語られる濃密な人間模様に、思わず引き込まれてしまった。
イバラのトゲの様に刺さってくる言葉が耳から離れない。
—石丸謙二郎さん(俳優)

カッパドキアの穴蔵のような住まいを舞台に繰り広げられる家族の物語りは、登場人物たちの語り合う言葉が互いの身体に穴を穿ち合うようで実に迫力がある。
これぞ世界遺産だ。
—江守徹さん(俳優)

■各界からの絶賛の声が続々と到着!
チェーホフ・ミーツ・ベルイマン。壮大なカッパドキアの風景に深い奥行きをもたらすのは、人々の軽蔑と憎悪、対話と沈黙、誇りと屈辱だ。
誰もが息を呑むあの「暖炉」シーンの衝撃は、映画史上に残るだろう。
—斎藤環さん(精神科医)

「暖かな火のある小さな部屋で妻の声を聞いている、それが何より幸せだ。
たとえそれが罵倒であっても」かくも辛辣で濃密な対話を、音楽のように楽しめる稀有な映画。
—加藤登紀子さん(歌手)

冬のカッパドキアは美しい。
その中で、心に固くまとったものが一枚一枚はがされていく。
少年の怒りの目、女たちの涙、男の傲慢と後悔。
壮大なランドスケープのもとで人間の懊悩が描かれる。
そして、最後に帰っていく場所の在処も。
—長倉洋海さん(写真家)

雪に閉ざされたカッパドキアで繰り広げられる、トルコオヤジの重厚な演歌的物語が
ついにカンヌを制覇した。やはり21世紀はユーラシアの時代なのだ。
—サラーム海上さん(音楽評論家/DJ/中東料理研究家)

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執筆者

Yasuhiro Togawa