6月6日(土)より公開の映画『奇跡のひと マリーとマルグリット』は、バリアフリー上映の活動の輪を広げるためにクラウドファンディングで音声ガイダンス付きバリアフリー版の制作費を一般公募しています。4月21日には、フランスから来日した主演女優のアリア—ナ・リヴォアールが会見を開き、自ら募金の呼びかけをしたことも広く全国にニュースとして広がりました。

 洋画初の試みとして話題になったこの公募は、クラウドファンドのサイトkibidangoで6月5日(金)をゴールに目標金額50万円を目指して行われていましたが、この度6月2日(火)夜に感動の目標金額クリア! を迎えました。

公募締め切り前の目標金額達成の後押しをしたのは、ニュースサイト8bitnews主宰のジャーナリストでキャスターの堀潤さん。バリアフリー版の制作に賛同し応援して下っていた堀さん自身がパーソナリティーを務めるJ-waveの番組JAM THE WORLDの6月2日(火)のオンエアで「今夜中に目標金額を達成しよう!」との呼びかけをして下さったことにリスナーたちの反響が起こり、見事目標金額の50万円をクリアしました! 6月3日午前中現在の達成金額は518,000円。皆さんの熱い気持ちが集結し締め切り前に目標金額達成を果たすという快挙が成し遂げられました。配給会社は「手探りで始めた企画ですが、音声ガイダンス付き吹替版の製作にご協力いただいた皆様、クラウドファンディングにご支援いただいた皆様、堀潤さん、そしてクラウドファンディングの場を提供してくださったkibidangoさんとたくさんの方に支えられてなんとか実現することができました。この企画のテーマである、“映画はみんなのもの”が皆様の声で形になったことをたいへん喜んでおります。これでバリアフリー版の上映回にたくさんの方が来てくださったら本当の目標達成だと思いますので、私たちも頑張ります」とコメントを発表した。

☆日本のバリアフリー映画の現状と『奇跡のひと マリーとマルグリット』の取り組み

現在、映画館では、邦画洋画に関わらず、聴覚や視覚に障がいのある方が映画を十分に楽しめていないのが現状です。バリアフリーと聞くと、スロープやエレベーターを想像される方もいらっしゃるかと思いますが、たとえば階段を上り下りできる人でもスロープやエレベーターを快適に利用することがあるように、映像のバリアフリーも、決して障がい者対応だけのものではありません。映像の味わいを深め、映像にアクセスする楽しみが増えるバリアフリー化は、映像・映画の未来のカタチだと考えられ始められています。そんな活動の中で、バリアフリー字幕、手話映像、音声ガイド、外国語字幕…選べるメニューを増やせば、映像にアクセスできる人が増え、いろんな状況の人が一緒に映像を楽しみ、感動を共有することができることに気がつき、いま映画業界が様々な取り組みを始めています。日本映画のバリアフリー映画上映の取り組みとしては、シネコンで上映のレギュラー化に向けての流れや、文化庁による助成制度も進められ、その輪は各所に広がっていますが、洋画のバリアフリー上映についてはまだ邦画に比べて遅れている状況です。

今回のファンドによって興行期間中に上映館である東京:シネスイッチ銀座/大阪:シネリーブル梅田/神奈川:横浜シネマ・ジャック&ベティ/兵庫:京都シネマ他で視覚障がい者のお客様もご鑑賞いただける、音声ガイド付き吹き替え版を上映するバリアフリー版を実施する他、全国の本作の上映館や公共施設での上映、バリアフリー版DVDの制作などに繋げていければと考えています。

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執筆者

Yasuhiro Togawa