名匠・ヴェンダースの心を捉えた、一枚の写真—。
それは稀代の写真家の人生を辿る旅へと繋がっていった。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、数々の傑作ドキュメンタリーを世に送り出してきた名匠、ヴィム・ヴェンダース。自らも写真家である彼が、ある日、出会った一枚の白黒写真。そこには住む場所を追われ難民となったトゥアレグ族の“盲目の女性”が写されていた。写真が持つ、底知れないパワーに深く心を揺さぶられたヴェンダース監督は、この作品を手掛けた写真家、セバスチャン・サルガドに強く惹かれていく。

セバスチャン・サルガドはブラジルに生まれ、ユージン・スミス賞をはじめ40年にわたり50以上の報道写真賞を受賞、後進たちに計り知れない影響を与え続ける世界的な報道写真家であり、大自然の保全や復元に尽力する環境活動家としても知られる稀代のアーティストである。写真集「SAHEL」、写真展「人間の大地 労働(WORKERS)」、「EXODUS 国境を越えて(EXODUS)」など、 “神の眼”とも呼ばれる奇跡的な構図による、モノクロを基調とした荘厳なまでに美しい作品の数々で世界を魅了してきた、彼の驚くべき生き様と、命をかけた壮絶な創作の秘密はどこにあるのか?

ヴェンダース監督は、サルガドの長男で、映画作家のジュリアーノ・リベイロ・サルガドの協力を得て、天才的写真家であり、家族を愛する一人の男の波乱に満ちた足跡を解き明かしていくと同時に、サルガドの生涯最後の野心的プロジェクト「GENESIS(ジェネシス)」の全貌を追い、このたぐいまれな才能と魅力をあますところなく描いていく。
本年度アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞ノミネートをはじめ、カンヌ国際映画祭ある視点特別賞&エキュメニカル審査員賞ダブル受賞、セザール賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞、サンセバスチャン国際映画祭観客賞受賞など、数多くの映画祭で絶賛され、数々の賞を獲得している映画&アート界がいま、最も注目する話題作。『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』は、サルガドを知り、そのまなざしから愛と感動で地球を俯瞰する、圧巻の映像叙事詩である。

予告編
http://youtu.be/xmBZSOIQA5E

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執筆者

Yasuhiro Togawa