この度、三上智恵監督(『標的の村』第 87 回キネマ旬報ベストテン文化映画第1位)の最新作『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』が完成しました。

本作は、今まさに沖縄・辺野古で進められている米軍新基地建設を巡るドキュメンタリー映画です。当初は 7 月の劇場公開を予定しておりましたが、刻一刻と変化する情勢のなかで「一日でも早く多くの人に見てもらいたい」という監督はじめ製作者の強い思いをうけ、劇場・ポレポレ東中野と協議した結果、5/23(土)より同館にて緊急先行上映を行うことを決めました。三上智恵監督、そして本作でナレーションをつとめた沖縄出身のアーティスト Cocco さんよりコメントが届きました。

【三上智恵監督コメント】
「基地は訓練をする場所で、日本はずっと戦争をしていない」。そう思わされ、都合良く目を背けてきた日本人に、70 年間封じ込められてきた沖縄の呻きをぶつけなければならない。そこから語り直さなければ届かないのだと、19 年沖縄の放送局にいて痛感しました。この映画は、沖縄の負担を減らして欲しいなどという生やさしいものを描いてはいません。知事を先頭に、国と全面対決してでも沖縄が止めたいものは、日本という国で息を吹き返そうとしている「戦争」そのものです。それが見えているから沖縄は屈しません。辺野古のゲートや海上で彼らに襲いかかってくる権力は、警察、防衛局、海上保安庁にその姿を変え、素手の県民を押さえつけます。でも、いくら押さえられても、その口は歌を唄う。怒りの絶頂を瞬時に笑いに変え、気力を盛り返す。撮影しながら、私は確かに地鳴りを聞きました。揺り起こされた「島ぐるみ闘争」の震動は、やがて激震となって本土に到達するでしょう。

三上智恵

【Cocco さんコメント】
ギロチンか電気イスか苦渋の選択を迫られたとしてそれはいずれも“死”だ。
辺野古か普天間かを問われるから沖縄は揺れ続ける。
口をつぐんでしまった友、デモに参加する友、自衛隊に勤める友、みんな心から沖縄を愛する私の大切な友です。
ギロチンか電気イスかではなく根底からの「NO」を誰もが胸に抱いてる。
人として当たり前に与えられていいはずの正しいやさしい選択肢が欲しいと私は、そう想うのです。

Cocco

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=53706

執筆者

Yasuhiro Togawa