スクリーンから醸し出される
慎み深き知性と、静かなる色気。
映画俳優 池部良
出演作33本 一挙特集上映

『風のように 映画俳優・池部良』
2015年5月17日(日)〜2015年7月11日(土)

 “永遠の青年”と称された、都会的な甘い風貌。過度に主張しないスマートな立ち振る舞い。のちに、円熟した男の渋みを兼ね備え、ジャンルを問わず様々な作品に出演し、数多くの人々を魅了してきた映画俳優・池部良。
ラピュタ阿佐ヶ谷では『風のように 映画俳優・池部良』と題し、池部良出演の33作品を一挙特集上映いたします。
 軍隊の慰問団の歌手(山口淑子)との悲恋を描いた『暁の脱走』では、敵の捕虜となり軍へ送還されてきた上等兵を好演。公開当時、山口淑子との濃厚なキスシーンが話題を集めました。戦争体験者でもある二人の迫真の演技は、時代を越えて観る者の心を激しく揺さぶることでしょう。

志賀直哉の原作小説を映画化した二作品も必見。『好人物の夫婦』では、若い女中に関心を寄せる日本画家役で、中年男性の心理を見事に演じました。また自作の映画化に否定的だった志賀の元に赴き、直談判したのち「池部を主役にならば」と承諾を得たという『暗夜行路』では、出自の秘密を知り苦悩する主人公を演じます。
見事役柄と結実した池部の色気と上品な佇まい。そして麗しき和装姿。大人の魅力溢れる作品となっております。

そして今回の特集上映では、彼のキャリアを語るうえで欠かせない作品である『乾いた花』を、ニュープリントにて上映いたします。本作で監督をつとめた篠田正浩曰く「池部には毒がある」と彼のポテンシャルを見事に引き出し、それまでの二枚目スターのイメージを覆す、虚無感に満ちたやくざ役で新境地を開拓。その後『昭和残侠伝』シリーズへの起用に繋がったという、池部良の俳優人生における分岐点となった作品です。
 池部良の魅力を余すところなく堪能する8週間。選りすぐりの33作品にどうぞご期待ください。

【上映作品】

●『暁の脱走』
(1950年/新東宝/監督:谷口千吉/出演:山口淑子、小沢栄、伊豆肇)

●『33号車応答なし』
(1955年/東宝/監督:谷口千吉/出演:司葉子、志村喬、平田昭彦)

●『妖星ゴラス』
(1962年/東宝/監督:本多猪四郎/出演:上原謙、志村喬、坂下文夫)

●『裸の町』
(1957年/東京映画/監督:久松静児/出演:淡路千景、淡路恵子、森繁久彌)

●『アンコールワット物語 美しき哀愁』
(1958年/連合映画/監督:渡辺邦男/出演:雪村いづみ、安西郷子、山口淑子)

●『坊っちゃん』
(1953年/東京映画/監督:丸山誠治/出演:小沢栄、森繁久彌、小堀誠)

●『戦争と平和』
(1947年/東宝/監督:山本薩夫、亀井文夫/出演:岸旗江、伊豆肇、菅井一郎)

●『早春』
(1956年/松竹大船/監督:小津安二郎/出演:淡路千景、高橋貞二、岸恵子)

●『恋化粧』
(1955年/東宝/監督:本多猪四郎/出演:小泉博、越路吹雪、岡田茉莉子)

●『恋人』〈東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品〉
(1951年/新東宝=昭映プロ/監督:市川崑/出演:久慈あさみ、千田是也、村瀬幸子)

●『天上大風』
(1956年/東宝/監督:瑞穂春海/出演:香川京子、千秋実、宝田明)

●『暗夜行路』
(1959年/東京映画/監督:豊田四郎/出演:山本富士子、淡島千景、千秋実)

●『好人物の夫婦』
(1956年/東宝/監督:千葉泰樹/出演:津島恵子、中北千枝子、青山京子)

●『お姐ちゃん罷り通る』
(1959年/東宝/監督:杉江敏男/出演:団令子、中島そのみ、重山規子)

●『現代人』
(1952年/松竹大船/監督:渋谷実/出演:山田五十鈴、山村聰、小林トシ子)

●『乾いた花』〈ニュープリント〉
(1964年/松竹大船/監督:篠田正浩/出演:加賀まり子、藤木孝、東野英治郎)

●『わたしの凡てを』
(1954年/東宝/監督:市川崑/出演:有馬稲子、伊藤絹子、上原謙)

●『トイレット部長』
(1961年/東宝/監督:筧正典/出演:淡路恵子、島津雅彦、浜美枝)

●『重役の椅子』
(1958年/東宝/監督:筧正典/出演:団令子、柳永二郎、水野久美)

●『潜水艦イ-57降伏せず』
(1959年/東宝/監督:松林宗恵/出演:三橋達也、久保明、藤田進)

●『お笑い捕物帖 ハッつぁん初手柄』
(1955年/東宝/監督:青柳信雄/出演:榎本健一、柳家金語楼、三木のり平)

●『女の四季』〈東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品〉
(1950年/東宝/監督:豊田四郎/出演:若山セツコ、杉村春子、東山千栄子)

●『青島要塞爆撃命令』
(1963年/東宝/監督:古澤憲吾/出演:佐藤允、夏木陽介、加山雄三)

●『渡世人列伝』
(1969年/東映京都/監督:小沢茂弘/出演:鶴田浩二、内田朝雄、木暮実千代)

●『如何なる星の下に』
 (1962年/東京映画/監督:豊田四郎/出演:山本富士子、池内淳子、大空真弓)

●『脱獄囚』
(1957年/東宝/監督:鈴木英夫/出演:草笛光子、家田佳子、藤田進)

●『兄さんの愛情』
(1954年/東京映画/監督:中川信夫、丸山誠治/出演:石浜朗、江原達怡、三宅邦子)

●『背後の人』
(1965年/松竹大船/監督:八木美津雄/出演:桑野みゆき、岡田英次、路加奈子)

●『白夫人の妖恋』
(1956年/東宝、ショウブラザーズ/監督:豊田四郎/出演:山口淑子、小堀誠、八千草薫)

●『朝の波紋』〈東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品/16mm〉
(1952年/エイトプロ/監督:五所平之助/出演:高峰秀子、岡田英次、沼田曜一)

●『こだまは呼んでいる』
(1959年/東宝/監督:本多猪四郎/出演:雪村いづみ、沢村貞子、飯田蝶子)

●『不滅の熱球』
(1955年/東宝/監督:鈴木英夫/出演:司葉子、笠智衆、藤原釜足)

●『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』
(1966年/東映東京/監督:佐伯清/出演:高倉健、三田佳子、津川雅彦)

【料金】一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 3回券…2,700円 ※水曜サービスデー…1,000円均一

本特集の詳細はこちらです。
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/ikeberyo/

執筆者

Yasuhiro Togawa