第 87 回アカデミー賞®にてジュリアン・ ムーアが主演女優賞を受賞いたしました『アリスのままで』<6/27(土)公開>の原作本が、5月1日(土)より販売開始となります。

本書はアメリカで200万部を超えるベストセラーとなり、現在31の言語に翻訳され全世界で1800万部を突破している作品ですが、当初は2007年に自費出版としてささやかに生まれました。その後、口コミで評判が広がり、2009年に大手版社から出版されたとたん、「ニューヨーク・タイムス」のベストセラーリストに40週連続でランクインされ、全米を感動の涙に包みました。

全世界で1800万部突破の感動のベストセラー小説!
「アリスのままで」

ある日、すべての記憶を失う
“若年性アルツハイマー病”と宣告されたアリス。

運命と闘うアリスと、
家族の葛藤と絆を描く感動の物語

■リサ・ジェノヴァ 著/古屋美登里 訳
■定価:1500 円(税別)
■発売日:5月1日(土)
■判型:46 判並製   ■ISBN978-4-908059-13-1

翻訳者 古屋美登里さん インタビュー

【古屋美登里・ふるや みどり】 翻訳家、エッセイスト。おもな訳書に、M・L・ステットドマン『海を照らす光』、イーディス・パールマン『双眼鏡からの眺め』(ともに早川書房)、B・J・ホラーズ編『モンスターズ現代アメリカ傑作短篇 集』(白水社)、ダニエル・タメット『ぼくには数字が風景に見える』(講談社文庫)、デイヴィッド・フィンケル『帰還兵はなぜ自殺するのか』(亜紀書房)などがある。

▼映画「アリスのままで」を観た感想を教えてください。
古屋「原作のエッセンスが忠実に映像化されていて、とりわけジュリアン・ムーアの演技が素晴らしかった。聡明で自信にあふれた言語学者のアリスが、物忘れをするようになり、自分のいる場所がわからなくなり、徐々に自信をなくしていく様子が丁寧に描かれていて、引き込まれました。海の自分の別荘で、トイレの場所がわからなくなって慌てふためくところは、原作にもあり、いちばん悲しい場面です。それでも自分の置かれた状況をアリスは受け入れていきます。記憶を失った自分は何者なのか、自分とは何か、人生の意味とは何か、を観る者に静かに問う映画でした。」

▼ジュリアン・ムーアがアカデミー賞を受賞したことについて。
古屋「50歳の働き盛りの才色兼備の女性アリスが記憶を失っていく過程をムーアは演じたわけですが、映画ではアリスの心の声は一切出てきません。 けれども、アリスの表情、体、仕草から、そのときどきのアリスの心の声が聞こえてくるようでした。圧倒的な演技で、受賞は当然だと思いました。」

▼これから映画を観る人へのメッセージをお願いします。
古屋「若年性アルツハイマー病になってからのアリスの変化や、それに伴う周囲の人々の変化がとても自然に描かれています。働く女性として、そして 母親、妻として、アリスが失うものの大きさに思いを馳せてくださればと思います。手にしたものがこぼれ落ちていく悲しさや、自分を失っていく恐怖は想像を絶するものです。日本では若年性アルツハイマー病を患う人は四万人近いと言われ、日々こうした恐怖を味わっている方々がそれだけいらっしゃるわけです。この映画を機に、そうした人々への理解が深まることを願っています。」

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執筆者

Yasuhiro Togawa