9・11以降の世界を若き僧侶の魂の冒険と成長という側面から描き出した『Fragment』(06)、生まれついての視覚障害者はSFアクション映画を作れるのか?という問いから始まる『INNERVISION』(13)など劇場公開作品から、フジテレビNONFIXで放送され大きな話題となった『バリアフリーコミュニケーション 僕たちはセックスしないの?できないの?』(14)まで、現代社会の固定観念を打ち砕く作品を作り続ける映画監督・佐々木誠が、新たに放つ問題作『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』が、渋谷アップリンクにて2015年2月14日(土)公開が決定いたしました!

本作は、2008年に公開された「裸over8」というオムニバスの中の一篇『マイノリティとセックスに関する、2、3の事例』の長編版。とはいえ単なるブローアップではなく、「マイノリティとマジョリティ その境界線を決めているのは誰なのか、何なのか」という問いにメタフィクション的なアプローチで迫りながら、3・11以降の日本の変化に対する危機感と、それでも信ずるべき希望を描き出そうとする意欲的な作品である。その表現方法は、過激なだけでなく、真摯に人間を見つめる。映画監督・佐々木誠の「マイノリティからの視点」は一貫している。

出演は、自身もARTHROGRYPOSIS (アルトログリポージス・先天性多発性関節拘縮症)を患っていながら、障がい者の社会進出や表現活動の重要性を積極的に発信してきた門間健一。佐々木監督の友人にして本作の「共犯者」という関係を続けてきた門間さんだったが、昨年、この映画の上映を待たず急逝。映画には彼の「普通でいる事、当たり前に居られる事の難しさ。でもそうある為に、現状を突破していかなくてはならない」という思いも刻まれている。
他にも鉄割アルバトロスケット主宰・作家の戌井昭人、映画作家・想田和弘、映画監督・竹馬靖具などが虚実入り混じった世界に出演する。

今回の公開に際し、チラシ・ポスターのメインビジュアルを人気イラストレーター・サイトウユウスケの作品を使用。予告編のナレーションも作家・DJとして活躍するロバート・ハリスが担当するなど、作品のテーマに共感した人々の力が結集した。

また一切の境界線を無くしたいという願いを込めて、劇場鑑賞料金を「NO BORDER価格」として、ご鑑賞いただく全ての方を均一の料金に設定させていただきました。

誰でもない「ワタシ」の虚実皮膜な6年間の個人的記録。
ここから見えてくる、私たちの「NO BORDER」な未来。

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執筆者

Yasuhiro Togawa