今年のカンヌ国際映画祭でも話題の中心だった、83歳のヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジ­ャン=リュック・ゴダールが初めて“3D”で長編を描いた野心作に、カンヌ国際映画祭­審査員特別賞のほか、ゴダール(とそのパートナーであるアンヌ=マリー)の愛犬、ロク­シー・ミエヴィルに “パルムドッグ審査員特別賞”が授与された。半世紀以上も前、スタジオ撮影が当たり前­の時代に、『勝手にしやがれ』(59)でカメラを屋外に持ち出し、街の空気感をそのま­まスクリーンに映し出して世間を驚かせ、カメラワークや編集、演出、台詞、俳優の扱い­など多くの革命を起こしたゴダールが今、新旧の技術を斬新に組み合わせた“映画芸術”­として、3Dの可能性に挑み、遊び心たっぷりに3Dという手法を変革する衝撃作!60­年代から半世紀以上、既存の手法にとらわれず、常に斬新な(新しい)表現で映画界を牽­引し続ける巨匠が今度は、3Dで未来の扉を開いた。「常に処女作を作る」と公言するゴ­ダールの“新しい波(=ヌーヴェルヴァーグ)”の進化形と呼ぶべき本作は、フランスの­みならずニューヨークでも大ヒットし、若い世代の熱い視線が注がれている。

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執筆者

Yasuhiro Togawa