オランダのアムステルダム国立美術館の 10 年に及ぶ改修工事の驚きの顛末を包み隠さず追ったドキュメンタリー映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』が、11月19日よりオランダ、アムステルダムにて開催されていた世界最大のドキュメンタリー映画祭「アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2014」にて、オランダドキュメンタリー部門 最優秀賞を受賞致しました。
同映画祭(IDFA)は、年に一度オランダのアムステルダムで開催される世界的に権威のあるドキュメンタリー映画祭でその規模は世界最大級。開催期間中300本以上のドキュメンタリーが上映され、約10万人の観客のほか、映画の制作者も多数参加。本映画祭では、これまで「いのちの食べかた」や「ザ・コーヴ」なども受賞している。
本作は12 月20 日(土)より、渋谷・ユーロスペースにて公開、他全国順次公開いたします。

<審査員講評>
我々5 人の審査員は満場一致で『みんなのアムステルダム国立美術館へ』を選びました。
私たちは、10 年以上にわたる創造を描いたこの壮大な映画で、長びく改修工事のあいだ、“美の大聖堂”で働く人々の一側面に出会います。私たちはオランダの巨大なアムステルダム国立美術館にある、文明の偉大な至宝を預かる学芸員たちに尊敬と賞賛の念を抱くようになるでしょう。不条理なほどに行きすぎた官僚的管理の狂気と、金と忍耐を浪費する些細なことによって、彼らの熱意がたえず邪魔され、くじかれ、ほとんど負かされそうになりながらも、彼らは愛と献身をもって美術品を見守ります。
この映画は裕福で自己中心的で傲慢なヨーロッパ社会の全ての愚行を露呈させます。美しくコントロールされた映像、繊細なテンポ、そして彫刻が息づくかのようなサントラが、この堂々たる作品に精神性をもたらしています。芸術に逆境をうち負かさせる見事なポートレートです。

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執筆者

Yasuhiro Togawa