『アナと雪の女王』のウォルト・ディズニー・スタジオ最新作で、東京国際映画祭のオープニング作品として世界最速上映され注目を集めている映画『ベイマックス』(12/20公開)。幼くして両親を亡くし、最愛の存在であった兄タダシをも謎の事故で亡くしてしまったひとりぼっちの天才少年ヒロと“優しすぎる”ケア・ロボットの“ベイマックス”の絆を描いた感動のアドベンチャーとして公開する本作と、同時上映される『愛犬とごちそう』の特別映像が解禁される。

https://www.youtube.com/watch?v=LZGW349fio8

『愛犬とごちそう』は一人の男性が飼う愛犬であり親友でもあるウィンストンの視点から描いた、共に分かち合う料理の一口一口を通して明かされる愛をテーマとした物語。ご主人様と一緒に食べるジャンク・フードが大好きなウィンストンは毎日楽しい日々を送っていた。でも、ご主人様が恋に落ちてからというもの、楽しかった食事の時間は一変してしまう。解禁される映像では、ご主人様の近くで幸せそうな表情を浮かべジャンク・フードを貪る、なんとも愛らしいウィンストンの食事シーンがお披露目。その可愛すぎる姿には誰もが頬をゆるめずにはいられない。そして映像の後半では、ご主人様の異変を察知したウィンストンが凛々しい表情で1人街へ駆け出すシーンも。

メガホンをとったのは『愛犬とごちそう』初めて監督を務めるパトリック・オズボーン監督。『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』など長編アニメーションや、短編『紙ひこうき』にもアニメーターとして関わった後、『ベイマックス』でもアニメーション・チーフを務めるスゴ腕のアニメーターだ。
しかし、彼はアニメーターの実力が買われた結果として監督に抜擢された訳ではない。実は、ディズニー・スタジオで働く全社員へ出された【短編アニメーションのアイデアを求む!】という告知がキッカケとなり、多くの社員がここぞとばかりに名乗りを上げる中、彼は『愛犬とごちそう』の企画を提出。最終候補まで残った彼はジョン・ラセターへのプレゼンを行い見事採用され、その自身のストーリーテリングの能力とアイデアを実力でスタジオに認めさせたのだ。彼は「ビッグチャンスに興奮しましたが、同時にディズニーの名作短編アニメーションとその輝ける歴史に、ものすごいプレッシャーを感じましたよ。」と語っている。

自身も愛犬家で3匹の犬と育った彼は愛犬の表情や仕草はもちろん、やはりアニメーター出身の監督である彼はウィンストンの足と体の動きには強いこだわりを持って描いている。時には本物の犬をスタジオに連れてきて他のアニメーターと共に、その動きを細かくスケッチした。「最近(のディズニー・アニメーション作品)は人間が主人公の作品が続いていたので、スタッフの半数近くが四足歩行の動物をアニメートしたことが無かったんです。特に足の動きが非常に複雑なので、ビデオに撮り、何度も何度も繰り返して見て研究しました。」と振り返る。

犬を飼っているジョン・ラセターも「素晴らしいよ!おめでとう!」と大絶賛する本作。前回のアカデミー賞では『紙ひこうき』が短編アニメーション賞を受賞しているが、パトリック・オズボーン監督はどのように考えているのか?「そんな期待は一切していません。僕はたくさんの人々に楽しんで観てもらえれば十分満足ですよ。それが、何よりの“ご褒美”です。」と語り、「もし一生短編だけ撮って暮らしていけるなら迷わずその道を選びます(笑)。」とすっかり短編監督にはまってしまったようだ。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa