関西クィア映画祭は、「性」と「それにかかわる暮らしや生き方」をテーマにした映像作品を世界各国から集めて上映するお祭りです。2005年7月に2日間の日程で第1回が開催され、今年で9回目を迎えます。去年は大阪・京都両会場あわせておよそ1500人のご来場をいただきました。今年は大阪で10月に、3日間の開催が決定いたしました。
 当映画祭では、独自で海外から取り寄せ、翻訳や字幕作成を行っているため、日本ではここでしか観られない作品も多数あります。また、メジャーからマイナーまで、幅広く様々な傾向のプログラムを用意しています。また、同性愛をテーマにした作品に留まらず、トランスジェンダーやバイセクシュアル、インターセックスなどを扱った映画を日本で最も多く、上映してきた映画祭でもあります。珠玉の作品を、ぜひこの機会に、ご鑑賞ください!

※クィア / Queerって?
 英語で「クィア」とは、「オカマ」「ホモ」「ヘンタイ」など、性の領域で“ふつう”ではないと考えられる人々への蔑称でした。これを逆手にとり、あえて「クィア」を使うことで、様々な少数派を可視化し、肯定します。また、LGBTだけでなく「普通でない」「典型的でない」生き方をポジティブにとらえ直す意図があります。
 ひとりひとりが自分の性や生き方を選び決めていこう、規範(=であるべきだ、でなければならない)に気づき、立ち上がり意見しよう、というメッセージがこめられています。

今年の特色は?

●今年のキャッチコピーは「枠をこわしてワクワクする秋」です。
あなたの枠を根底からくつがえす作品がいっぱいです。詳しくは末尾の《上映作品》をご覧ください。恋愛や性欲の「好き」だけでない、私たちにはたくさんの「好き」があります。枠をこわしてワクワクし、誰もが幸せに「好き」を味わえる挑戦をしてみませんか? 日々の人間関係の中で、お互いのありのままを受け止め「それがあなただよ、そしてこれが私だよ」といえる自由を手に入れるために!

●ゲストトークを2プログラムご用意しています。
①10/18(土)16:20開演
上映前に「すいっちんーバイブ新世紀ー」の監督・ササタニーチェさんをお招きしてのトークタイムを予定しています。
②10/19(日)11:30開演
上映後に「ソウル・フラワー・トレイン」の監督・西尾孔志さんと、脚本・上原三由樹さんをお招きしてのトークタイムを予定しています。

●映画上映以外にも特設スペースにて、様々な企画をおたのしみ頂ける「クィア・スペース」があります。
①展示:映画の背景状況に関する資料や、当映画祭の資料などを展示します。
②シェアコーナー:プログラムの合間に、観た映画について話すコーナーです。
③カフェ:映画を見た後は、こちらでホッと一息。ソフトドリンクと軽食をご用意しております。
④はしもとしょかん:昨年大好評だった図書館。読みやすいマンガや性に関連した本などなど。
⑤なんでも書いていいコーナー:あなたが日頃おもっていることを自由に書くコーナーです。

●会場内には「クィアトイレ」があります。
性別関係なく誰でも入れるクィアトイレを設置しました。自身の性に違和感/ゆらぎのある人もない人も、一般的な男女別トイレに疑問のある人もない人も、公共の施設での「クィアトイレ」をぜひ、一度ご利用ください。

チケット情報

●種類と料金 ※プログラムを指定したチケットの販売はありません。
・1回券 1プログラムに有効 前売1,300円 当日1,600円
・3回券 3プログラムに有効 前売3,500円 当日4,000円 ※複数名で分けてお使いいただけます。
・フリーパス 全9プログラムに有効 前売10,000円 当日12,000円 ※パスに記名された1名様のみ有効です。

●割引
障害者手帳、非課税証明書、18歳以下である事が分かる証明書の提示、または会場受付で「東日本大震災および福島原発事故における被災者 / 避難者 割引申込書」への記入をされた方には、当日券を半額で販売いたします。前売券は割引適応外です。

●前売券の購入
前売券発売期間 8/1(金)〜10/16(木)

・ショップ(性別問わず誰でも購入が可能)
①WaaGwaan(大阪市北区) TEL 06-6365-1991 http://www.waa-gwaan.com/
②コンドマニア神戸三宮店(神戸市中央区) TEL 078-321-1631 http://condomania.jp/
③コローリカフェ(京都市上京区) TEL 075-801-5634 http://www.coloricaffe.com/
④京都ルミエール&コンボイ京都店(京都市下京区) TEL 075-341-0213 http://wwwconvoy-kyoto.com/

・e+ イープラス
①ウェブで購入の場合:e+のサイト(http://eplus.jp)で購入後、
           ファミリーマートかセブンイレブンで受け取り可能。
②店頭購入の場合:ファミリーマートの「ファミポート」で購入できます。
         「関西クィア映画祭2014」で検索してください。

実施概要

企画名称:関西クィア映画祭2014

日  程:2014年10月17日(金)18日(土)19日(日)
場  所:男女共同参画推進センターすてっぷ
     ※大阪府豊中市玉井1-1-1-501(阪急豊中駅下車南口からすぐ「エトレ豊中」5階)
上映作品:全17作品(長編9作品、短編8作品)

主  催:関西クィア映画祭2014 実行委員会
特別協力:ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川
協  力:東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(字幕)
後  援:ドイツ連邦共和国総領事館
後  援:とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ
指定管理者:一般財団法人とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ
      ウェブ   http://kansai-qff.org
      ブログ   http://blog.livedoor.jp/kansai_qff/
      Twitter   @kqff_official
      Facebook https://www.facebook.com/KansaiQFF?ref=hl

《上映作品》

(A)セクシュアル
Angela Tucker/75分/2011/米国/英語/日本語字幕

アセクシュアルって何?セックスをしない人の事?性欲がないの?恋はする?オナニーは?あなたには、セックスは誰もがしたいものという偏見はないだろうか。「性欲がある」のが前提される社会で、性的欲求を抱かないアセクシュアルの人たちがいる。アセクシュアルは自身のアイデンティティとどう向き合うのだろうか。
トレーラー: http://m.youtube.com/watch?v=AYMh9zkt6r4&feature=kp

少女は自転車にのって
Haifaa Al Mansour/97分/2012/サウジアラビア、ドイツ/アラビア語/日本語字幕

女性が乗るのは「はしたない」とされる自転車が、のどから手が出るほど欲しいワジダ。自転車を購入する資金を得るため、一念発起し猛勉強を始めることに。映画館が禁じられている国サウジアラビアで、初の女性監督による映画が誕生! 会場では、イスラム圏に向けられる視線について、関連資料を展示します。
トレーラー(HP):http://shoujo-jitensha.com

明日私に恋をして 〜Will You Still Love Me Tomorrow?〜
Arvin Chen/104分/2013/台湾/マンドリン、ミンナン語、韓国語、英語/日本語字幕、英語字幕、中国語(繁)字幕

ウェイツォンは、いわゆる「人生勝利組」のような生活を送りながらも、冴えない気持ちで過ごしていた。そんな時、眼鏡屋で出会った客に一目惚れし、忘れようとしてきた気持ちが沸き上がってしまう…。妹の婚約騒動や台湾のゲイライフなど、サイドストーリーもユーモラスな演出で愛嬌たっぷりに描く、群像ラブコメディー。
トレーラー: https://www.youtube.com/watch?v=V_FT65tWcHU&list=PLBi7XfVlh86m7XYmcqwWyoDyVgRGyIgsd?autoplay=1&hd=1;rel=0

アロハの心をうたい継ぐ者
Dean Hamer & Joe Wilson/77分/2014/ハワイ、米国/英語、ハワイ語、トンガ語/日本語字幕

ハワイでは古代より、トランスジェンダー(ハワイ語で“マフ”)は尊敬される存在だった。“マフ”であることからくる悩み、白人世界との共生、周りの人の様々な思い。見終わったとき残るのはハワイの真髄と人間の温もり。「性的少数派かつ民族少数派」というダブルマイノリティを生きる者の力強いドキュメンタリー作品。

すいっちん —バイブ新世紀—
sasatani-chez/61分/2011/日本/日本語/英語字幕

あの話題作が再登場! 性をたのしむのに大活躍のバイブレーター。エロ文化を独自の視点で描くササタニーチェ監督が、知られざる世界にメスを入れる。男女の非対称性をあぶりだす、抱腹絶倒のドキュメント。バイブは男根の幻か? 本作はあなたをブブブと震撼させる!
トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=C-zGKV8ZMlU

3(スリー)
Tom Tykwer/120分/2010/ドイツ/ドイツ語/英語字幕、日本語字幕

生、老、病、再生、生殖、死、死後。人間の終わりと始まりはどこなのか。性愛関係は二者間だけのもの?人はひとりしか愛せない?気づかず前提としていたものが揺らぐ瞬間、あなたの世界が広がる。作中に使われる象徴的な青色やデイヴィッド・ボウイの曲が流れるエンドロールなど、最後の最後までがとびきりに美しい第一級の作品。あの「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督が贈る、新しい愛のかたち。
トレーラー: https://www.youtube.com/watch?v=c5vCJDwgyGI

ソウル・フラワー・トレイン
西尾 孔志/97分/2012/日本/日本語/英語字幕

ちょっととぼけた父親の、コテコテロードムービー。ちっとも田舎に帰ってこない娘ユキを訪ね、大阪へ出てきたお父さん。初対面のアカネに「こっちやで!」ついて行くと人情あふれる下町。そしてストリップ劇場も初体験! そんなハラハラする冒険のあと、父は娘の秘密に気づいてしまう。一方アカネにも、ある思惑が…⁈
トレーラー: http://www.youtube.com/embed/9KkXTG15wLg

インターセックスであること
Grant Lahood/68分/2012/ニュージーランド/英語/日本語字幕

あなたはどれだけ想像を膨らませても知識を持っても本人に会うまでは本人を知ることはできない。知るべきは目の前の人。でもせめて垣間見たい。「インターセックスであること」では,マニが出会う幾人もの人々の姿,現実,社会,そしてその取り巻く問題を映し出す。私たちはインターセックスの何を知ることができるのか。

キス・ミー
Alexandra-Therese Keining/105分/2011/スウェーデン/スウェーデン語/日本語字幕、英語字幕

親同士の婚約パーティーで出会った、フリーダとミア。 それぞれ恋人がいるものの、初対面からお互いが気になって仕方ない。思いが深まる程、引き裂かれる心…。悲しい、好き、うわの空−“目による語り”が溢れる本作。字幕を追う事ばかりに気を取られず、ふたりの表情を見逃さないでほしい。第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で会場をいっぱいにした本作。

執筆者

Yasuhiro Togawa