日本の80年代インディペンデントの伝説、松井良彦監督作品『追悼のざわめき』(デジタルリマスター版)の期間限定の再上映が決定いたしました。

80年代インディペンデントの極北、魂のハードコア・ファンタジー。
これはリバイバルではない。さらに鋭く、美しく、デジタルリマスターとしての暴力的な 再生である。
小人症の主人公たち、兄にレイプされ死にいたる少女、愛ゆえ、その妹を食む兄。
舞台は、猛々しいヤクザが支配する大阪のアンタッチャブルな<真空地帯>・・・、
あからさまな差別や偏見にまみれ、閉ざされた苦境の中で懸命に生きようとする者らの絶望と破滅。

松井良彦が脚本に描いた寓話は、暴力と差別の残忍な描写にあふれていた。交錯する憎悪、愛を切り裂く性、どん底のさらなる深層をゆく絶望。映画化は不可能。故・寺山修司をして、「映画になったら事件だね」と言わしめた。しかし、80年代インディーズ映画の神がかり的なエネルギーがこれを作品に結実させた。1985年に完成した本作は、同年、トリノ国際映画祭に出品を予定されながら、イタリア税関でストップ。86年には香港での日本映画祭に招待されながらも、同じく税関ストップ。88年、公開に先立つ試写ではすでに賛否が激しく対立した。そして、88年5月28日、公開初日、いまわなき“中野武蔵野ホール”は超満員となった。しかし、開映後20分を過ぎたあたりから、気分を悪くした観客が続々と席を立ちはじめた。あるものは「この映画を観たことを不幸に思う」と囁いた。また、映画を見終えたあるものが言う、「悲哀と美しさの入り混じった不思議な映画だった」「涙がでた」と。「最低!」と「最高!」、交錯する反響が伝説のカルト・ムーヴィーを産み出した。

2014年9月20日(土)〜10月3日(金) K’s CINEMAにて再上映

映画『追悼のざわめき』アンコール上映(新宿 K’s cinema)で、行定勲(映画監督)、束芋(現代美術家)とのトークショー決定!
●行定勲(映画監督)x 松井良彦 9月20日(土)12:30の回の上映後
●束芋(現代美術家)x 松井良彦 9月21日(日)12:30の回の上映後

劇場サイト
http://www.ks-cinema.com/movie/tsuitou/

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa