本日開幕した第67回カンヌ国際映画祭。今回コンペティション部門の審査員を務める、ガエル・ガルシア・ベルナルが主演を果たす映画『NO』が8月30日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開が決定した。

『NO』は2012年、第65回カンヌ国際映画祭の監督週間アートシネマアワード(最高賞)を受賞、その他世界の名立たる映画祭や映画賞で高い評価を受けている。主演ガエル・ガルシア・ベルナルにとってカンヌ国際映画祭は、2000年に彼の名を一躍有名にしたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『アモーレス・ペロス』が批評家週間でグランプリを受賞したことをはじめ、2004年にはペドロ・アルモドバル監督『バッド・エデュケーション』が特別招待作品としてオープニングを飾り、同年のコンペティション部門にはウォルター・サレス監督『モーターサイクル・ダイアリーズ』が正式出品するなど俳優としてつながりが深い映画祭。今年はその実績からついにコンペティション部門の審査員をつとめることになった。

本作は、パブロ・ラライン監督がチリ独裁政権3部作の完結編とした、1988年ピノチェト政権末期が舞台。長きにわたるアウグスト・ピノチェト将軍の軍事独裁政権に対する国際批判の高まりから、信任延長の是非を問う国民投票の実施が決定し、ピノチェト支持派「YES」と反対派「NO」両陣営による1日15分のTVコマーシャルを展開する一大キャンペーン合戦が行われる。ガエル・ガルシア・ベルナル演じる「NO」陣営に雇われた若き広告マンが斬新かつユーモア溢れる大胆なアイデアで、支持派の強大な権力と向き合い熾烈なメディア争いを繰り広げていく姿を描く。広告の力が社会に与える影響を観る者に問う、傑作社会派エンターテインメント映画が誕生した。また実話を元にしており、撮影技法も当時の映像とドラマが巧みに融合していくことを狙い、ビンテージカメラを使用、実際の映像とフィクションがうまく交錯し、当時を追体験するような演出効果に成功している。
公開された国々で軒並み大ヒットを飛ばしている本作、いよいよ日本では、8月30日(土)より[東京]ヒューマントラストシネマ有楽町、[大阪]テアトル梅田、[神戸]シネ・リーブル神戸の3館同時公開が決定。
ほか全国順次ロードショー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa