リーアム・ニーソンは出演を決めた理由について、「ポール・ハギス監督の『スリーデイズ』にカメオ出演した時から、僕たちの友情が生まれた。だから彼がこの脚本を送ってきた時、ひねりと驚きのあるとてもめずらしくて見事な脚本だと思い、魅了されたんだ」と語る。そして彼はハギスならではの演出術にも惹かれたという。「通常は、脚本家兼監督と仕事をする時、自分に防護柵を張り巡らしてしまうのだけれど、ポールはそういう型を打ち破ってくるんだ。これまでにかなり脚本家兼監督と仕事をしてきたが、ニール・ジョーダン、ウディ・アレン、ポール・ハギスは特に素晴らしい。ポールは俳優に対して、脚本に忠実に自分が書いた言葉をそのまま言わせようとするが、一度やってしまうと、あとは自由に、その場に合う物なら何でもやらせてくれるんだ」。主人公の愛人を演じたオリヴィア・ワイルドも脚本家、監督としてのハギスに称賛を惜しまない。「キャラクターたちが全員複雑なところに引き付けられたわ。平行線をたどる彼らの苦しみを面白いと思ったし、全員に共感できた。男も女も子供も、誰もが傷ついているから。でも彼ら全員が愛によって突き動かされている。キャラクター全員に共感できるなら、たとえ彼らが互いを傷つける傾向にあろうと、それを書いた作家は優れた人だと思う。ポール・ハギスとの仕事は素晴らしいわ。心の深いところで題材と触れ合い、キャラクターを見事に理解しているから、あらゆる点で俳優を助けてくれる。本当に繊細なところでも彼が答えられないことはないの。監督としても素晴らしいわ」。

 「長い間、ポール・ハギスと仕事がしたかった」というエイドリアン・ブロディはイタリアでいかがわしい仕事をしている男を演じ、「悲劇は多くの人の人生に降りかかってくるし、人はそれを乗り越えなくてはならない。だから英雄的なキャラクターを描くより、人間の不完全さやそれを克服する能力を観察するほうがはるかに面白く、心に響いてくると思うんだ」と語っている。不運な元昼メロの女優を演じたミラ・クニスも「脚本を読んで恋に落ちた」ひとりだ。「ポールに会って、すぐに意気投合したの。彼から渡された脚本を読んで、私は泣いたわ。オリヴィアやリーアムが出演することは知っていたし、このキャラクターがとても特別でユニークだと感じたから、出演することに迷いはなかった。彼の脚本には独特の雰囲気があって、キャラクター全員がとても悲哀に満ちているのよ」。『告発のとき』にも出演し、ハギスとはともにチャリティ活動もする仲だというジェームズ・フランコ、10年来の親友であるマリア・ベロ、そしてキム・ベイシンガーなど、ハギスの才能に惚れ込んでいるハリウッドを代表する実力派キャストが集結した。

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執筆者

Yasuhiro Togawa