メキシコのとある村。愛らしいふたりの子供と美しい妻ナタリアとともに暮らすフアンは、何不自由ない恵まれた日々を送っていた。
ところがある夜、赤く発光する“それ”が彼の家を訪問したときから、なにげない平和な日常は一転し、様々な問題が露わになってゆく。
フアンの家に現れた“それ”とはいったい何だったのか?
禍をもたらす「悪魔」なのか、それともどこかに彼らを導こうとする「神」なのか…。
雷鳴轟くマジックアワーに代表される驚異的な大自然のイメージと、全編を通じて画面をおおう万華鏡的なビジュアルエフェクトとが、ラテン・アメリカ特有の魔術的リアリズムを刻んでいく。
そして「夫婦の性」「依存症」「貧困」「暴力」といった今の世界が抱える諸問題が鮮烈にえぐり出される。
カンヌ国際映画祭でも、その強烈な個性は衆目の一致するところ、本作で見事に監督賞を受賞したメキシコの鬼才カルロス・レイガダス。
前職は弁護士という異色のキャリアの持ち主でもある若き巨匠は、世界の映画祭で“レイガダス・ブーム”を巻き起こした。
日本で初の劇場公開となるレイガダス監督によるめくるめく映像世界を、ぜひご体験下さい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa