2010年カンヌ映画祭「ある視点」部門で上映され、ガス・ヴァン・サント監督『エレファント』を彷彿すると評された本作。人物それぞれの視点・視座と時間軸・時系列の違いを存分に活かし、斬新かつ大胆な物語構造を実現。名優イポリット・ジラルドの娘、アナ・ジラルド主演。繊細な光と影が織りなす美しく精緻な映像は『ガーゴイル』、『侵入者』など一連のクレール・ドゥニ作品の撮影監督アニエス・ゴダールによる。ほぼ全ての場面における色彩設計も注目!

また、音楽は米オルターナティヴ・ロックの巨星ソニック・ユースによる書き下ろし。盟友ジム・オルークも重要楽曲の演奏で参加している。書き下ろし楽曲群に加えてソニック・ユースの代表曲の一つ、名曲 『Schizophrenia(スキゾフレニア)』が唸りを上げている。

舞台はパリ郊外。パーティーに集う若者たちが、森で死体を発見する。その2週間前、シモン・ヴェルネールという名の高校生が失踪。教室からは血痕が発見され、捜査が開始されるが、それから数日も経たないうちに同じクラスの女生徒レティシアが失踪。シモンとレティシアの間には特別な関係はなく、心当たりを持つ者もいない。そしてその翌日、また別の生徒ジャン=バティストが消息を絶つ。誰もが、すべてが、怪しい。なにが本当で、なにが嘘なのか。疑心暗鬼と猜疑心が、その小さな世界に渦巻いてゆく。果たして、事件の真相は……?

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執筆者

Yasuhiro Togawa