この度、2013年12月21日(土)より渋谷アップリンク、新宿K’sシネマを皮切りに映画『パリ、ただよう花』を公開いたします。
ロウ・イエ監督は、2006年『天安門、恋人たち』の天安門事件及び性描写、また政府に無許可でカンヌ国際映画祭に出品したため、中国当局から5年間の国内で映画製作及び公開の禁止処分を受け、本作『パリ、ただよう花』まで国内での表現活動を制限されていました。
2008年北京オリンピックのメイン会場「鳥の巣」スタジアムの設計に関わった中国を代表する現代芸術家で、過激な発言によって一時は中国政府の監視下にいた、アイ・ウェイウェイ氏にまつわるドキュメンタリー映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』も11月30日より公開される中、自分の信念を貫く中国クリエイターたちの問題作が次々と日本上陸を果たしています。

『パリ、ただよう花Love and Bruises 』
パリ、北京、二つの都市で居場所を求めてさまよう女の「愛の問題」を描く、ロウ・イエ版『ラスト・タンゴ・イン・パリ』

北京からパリにやってきたばかりの若い教師、花(ルビ:ホア)。なじみのない街で彼女は様々な男と体を重ね、自分の狭いアパートと大学の間、かつての恋人たちとフランスで新たに出会った人々の間を漂う。ある日、建設工のマチューという男と出会う。一目で恋に落ちた二人は、激しく肉体を求め合う。お互い、秘密を抱えたまま…。異なる人種や文化、暴力と優しさ、愛とセックスのはざまで揺れ動くある女性の“愛の問題”を描く、本作をもって5年間の中国国内での映画製作の禁止が解かれたロウ・イエ版『ラスト・タンゴ・イン・パリ』

出演、タハール・ラヒム(『預言者』/ジャック・オーディアール監督)。撮影、ユー・リクウァイ(『長江哀歌』/ジャ・ジャンク—監督)。そのあまりに赤裸々で過激な性描写で話題となったネット小説「裸」を映画化。

『アイ・ウェイウェイは謝らない』
界の美術館が求めるアーティスト アイ・ウェイウェイ

2008年華々しく開催された北京オリンピックのメイン会場として知られる、“鳥の巣”スタジアムの設計に中国人現代アーティストとして参加したアイ・ウェイウェイ。彼の類い稀なる才能にロンドンのテート・モダン、ミュンヘンのハウス・デア・クンストをはじめ、世界のキュレーターたちが魅了され、美術展を開催。2007年に森美術館で開催された”According to What?”の展覧会に訪れた観客は46万人。それほどまでに多くの人を魅了する彼の作品のパワーの根源が本作で紹介されています。彼のことを知らなくても、作品同様、人間アイ・ウェイウェイに魅了されるに違いありません。

アメリカ人監督が撮ったアイ・ウェイウェイ

本作の監督でもありプロデューサーでもあるアリソン・クレイマンは、フリーのジャーナリストとして活躍。2006年から2010年まで中国に暮らし、アメリカのPBSのニュース・ドキュメンタリー、AP通信のためにテレビ番組特集の制作に従事。アイ・ウェイウェイに2年間に渡り密着し、本作を完成させた。2011年春にアイ・ウェイウェイが中国当局に拘束された際には、CNNインターナショナルをはじめメディアに大量露出。アイ・ウェイウェイについて、そして本作について語り、彼の釈放への働きかけをした。2012年、フィルム・メーカー誌が毎年選ぶ“インディペンデント映画界のニューフェイス25人”の一人となった。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa