オスカー女優・ジュディ・デンチ(78)×『クィーン』、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』製作チームが“50年間息子を探し続けた母”の実話を基に描く感動とユーモア溢れる物語

現地時間9月15日まで開催されていた、北米最大の国際映画祭・トロント国際映画祭において、観客賞を受賞したスティーヴ・マックイーン監督の「12 Years Slave」に続き、『あなたを抱きしめる日まで』が観客賞次点作品に選ばれた。
本映画祭は、ノン・コンペティションとなるため観客賞が最高賞とされており、過去には『スラムドッグ$ミリオネア』『プレシャス』『英国王のスピーチ』『世界にひとつのプレイブック』などアカデミー賞作品受賞していることから、来年のオスカーレースの先駆けとしても世界中の映画人たちが注目している。

前年は『世界にひとつのプレイブック』が本映画祭で観客賞を受賞し、次点には『アルゴ』選ばれたが、本年度のアカデミー賞では『世界にひとつのプレイブック』が主演女優賞、そして『アルゴ』が作品賞を受賞している。
また今年は日本から12本の作品が上映・出品された中、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』がミッドナイト・マッドネス部門で受賞した。

『あなたを抱きしめる日まで』は、アカデミー賞受賞/ノミネート作『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』や『クィーン』の製作チームが50年に渡り愛する息子を捜し続けた女性フィロメナの実話をもとに描く物語。現在78歳で主演のフィロメナ役を演じた大女優ジュディ・デンチの演技が本映画祭だけでなく、オスカーの主演女優賞も獲得するのではと話題になっている。作品を鑑賞した観客からはデンチ演じるフィロメナとクーガン演じるマーティンの小気味良い会話劇に笑いと拍手が上がっていた。ジュディ・デンチは役作りに当たり、実際のモデル・フィロメナに会い、彼女のユーモアセンスやお茶目な性格をエッセンスとして役に取り入れたと語っている。またマーティン役のクーガンは本作でプロデューサーと共同脚本も担当。実際のモデルであり原作著者のマーティン・シックスミスがフィロメナとのストーリー以外にジャーナリストとして職務を失った時のことなど、すべてをさらけ出してくれたことは映画化にあたり大きな助けになったと語った。物語の最後に修道院で明かされる衝撃の真実に関して、デンチやフリアーズ監督は、宗教批判ではなく、こういった事実が当時いくつもあったことを多くの人に知って欲しいという思いを口々に語った。

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執筆者

Yasuhiro Togawa