「死にゆく父の顔を写真に撮る」という“おつかい”と、行き着いた先に待っていた人生の修羅場で奮闘する姉妹を通して、母の思いや家族の絆を描きだす、『チチを撮りに』。
この度、30日(金 日本時間18時)、ロシアで開催された第3回サハリン国際映画祭(8月23日〜30日:ユジノサハリンスク(ロシア))にて受賞式が行われ、『チチを撮りに』が見事グランプリを受賞いたしました!

外国文化に触れる機会を増やそうと2年前から開催されているサハリン国際映画祭。コンペティション部門には、日本、中国、韓国、香港、そしてロシアなど10カ国から9作品が出品され、日本の新藤次郎プロデューサーが審査員も務めています。本作の他、ホン・サンス監督作をはじめ、ベルリン、ベネチアのメインコンペティション作品が4本出品されるほど、良質の作品が集まることでも注目されています。宮崎駿監督が脚本などを手がけた、『借りぐらしのアリエッティ』ほか日本のアニメ5本も上映されており、アジアの映画が一堂に会する盛大な催しとなりました。日本の作品が受賞するのは今回が初めて。
尚、『チチを撮りに』は、世界三大映画祭の一つである第63回ベルリン国際映画祭(ドイツ)のジェネレーション部門正式招待に続き、世界的注目度の高い映画祭の一つである第30回エルサレム国際映画祭(イスラエル)、第39回シアトル国際映画祭(アメリカ)、第62回メルボルン国際映画祭(オーストラリア)と正式招待され、また、第7回グラナダ国際映画祭(スペイン)ではグランプリに次ぐ「審査員特別賞」と「観客賞」をダブル受賞、Peace & Love Film Festival 2013(スウェーデン)では、「Jury Prize(脚本賞)」を受賞し、第19回京都国際子ども映画祭では「審査員特別賞」を受賞。出演の渡辺真起子は、第55回アジア太平洋映画祭にて「最優秀助演女優賞」を受賞し、アジアのアカデミー賞と言われる第7回アジアン・フィルム・アワードでも「最優秀助演女優賞」を受賞するという2冠を達成し、世界の映画祭を席巻中です。

監督は、本作で長編映画監督デビューを果たし、その独自の感性と視点に熱い視線が集まる中野量太。次代を担うクリエイターを発掘する「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」で日本人監督として初めて「監督賞」を受賞、「SKIPシティアワード(今後の可能性を感じる監督に授与)」をダブル受賞する快挙を成し遂げた新鋭です。共演者には、可笑しくもリアルな掛け合いがみどころの姉妹には、柳英里紗と松原菜野花。笑ってちょっぴり涙して、心がじんわり温かい。人生が愛おしくなる、ユーモアとペーソスに溢れた日本映画です。

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執筆者

Yasuhiro Togawa