近代ヨーロッパを代表する彫刻家、アリスティド・マイヨールにインスパイアされた本作。
老彫刻家とモデルが過ごす、親密な時間。作品が完成に近づく時、短く濃密な日々も終わりに近づく…
生きる苦悩、喜び、未来への希望を鮮やかに彩る美しい物語。

この度、第27回ゴヤ賞で13部門にノミネートされた『El Artista y la modelo』(原題)の邦題が、『ふたりのアトリエ〜ある彫刻家とモデル』に決定し、晩秋Bunkamuraル・シネマにて公開が決定しました!!

本作は、生きる希望を失くしていた名高いフランスの老彫刻家が、ひとりのスペイン娘との出会いによって創作意欲を取り戻し、苦悩しながも作品を作り上げてゆく姿と、ふたりの心の交流を美しい映像美で描いています。

監督は、『ベルエポック』でアカデミー賞外国語映画賞に輝いたスペインの名匠・フェルナンド・トルエバ。近代ヨーロッパを代表するフランスの彫刻家であり、ピカソ、ゴーギャン、マティスらと親交のあったアリスティド・マイヨールにインスパイアされた本作。モノクロームで撮ることで、スケッチの線や彫刻を引き立たせ、また、光溢れる自然の風景を絵画的に映しだしました。
彫刻家を演じたのは、『髪結いの亭主』『列車に乗った男』など100本以上の作品に出演し、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞で2度の主演男優賞を受賞した名優ジャン・ロシュフォール。秘めた情熱と憂いを含んだ眼差しが印象的な彫刻家を見事に演じています。彫刻家を魅了するモデルには、スペインの若手女優アイーダ・フォルチ。トルエバ監督の『El embrujo de Shanghai』のヒロインに15歳で抜擢されデビュー。本作では11年ぶりにトルエバ作品で主演し、ゴヤ賞の主演女優賞にノミネートされました。彫刻家を支える妻には、イタリア映画界の巨匠たちに愛され、『山猫』『ブーベの恋人』で日本での人気を決定づけた女優クラウディア・カルディナーレ。ロシュフォールとの豪華共演にも注目が集まりました。また共同脚本には、『昼顔』、『存在の耐えられない軽さ』ほか多くの名作を手掛けたジャン・クロード・カリエールが参加し、美しい物語を書き上げました。 

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執筆者

Yasuhiro Togawa