“香港のタランティーノ” 、“次世代のウォン・カーウァ ”と呼ばれ、昔から熱狂的なファンは多かったが、やはりマニアが観る映画というイメージがあったパン・ホーチョン。しかし遂に昨年 2012年「低俗喜劇」 と「恋の紫煙2」が香港で大ヒット!(2012年香港映画興行ランキング2位,3位) 一気にドル箱監督として注目され、今香港で最も期待されている映画監督と言われている。この特集上映では1999年〜2012年までの個性的すぎる彼のフィルモグラフィーの中から、厳選した8作品を劇場公開します!

●公開日程: シネマート六本木にて
8月24日(土)〜9月6日(金)8作品2weeks上映!

『夏休みの宿題/暑期作業』(1999年・12分)
97年に発刊した小説「フルタイム・キラー」の映画化権で得た資金を、投資して製作した短編。
夏休み最終日でも、宿題が終わらない少年が生み出す、恐ろしい妄想とは?
台湾アカデミー賞で最優秀短編賞に輝くほか、世界の映画祭で上映。
監督の類い稀な才能が随所に見られる、すべての原点。

『ビヨンド・アワ・ケン/公主復仇記』 (2004年・98分)
アイドルユニットTwinsのジリアン・チョンと、『ションヤンの酒家』のタオ・ホンW主演による、 監督3作目。
カラオケ店で働く女性の前に、前カレとのベッド写真を取り戻してほしいという、元女性教師が現れ、2人のなかに奇妙な友情が芽生える。
台湾留学中の際、友達の身に起こった出来事をベースに映画化。
女性脚本家との共同脚本により、ガーリー・ムービーになっているが、終盤への展開はいかにもパン監督作。ケン役は『新宿インシデント』のダニエル・ウー。

『AV』 (2005年・104分)
アダルトビデオを愛する監督が、『ハリウッド★ホンコン』のウォン・ユウナムや
『ドリーム・ホーム』の ローレンス・チョウ、デレク・ツァンら、若手俳優陣共演の監督4作目。
将来の目標もなく、卒業を控えた大学生が、ナンパ目的で映画製作を開始。
日本からAV女優を招聘してHも…!?という計画を企てる。
インパクトの強いタイトルや当時現役のAV女優・天宮まなみの出演などが話題を呼んだが、じつはせつない青春群像劇。香港映画評論学会が選ぶ、「今年の10本」に選出。

『些細なこと/破事兒』(2007年・90分)
21歳で書いた短編小説を映画化した、監督7作目。倦怠期を迎えた夫婦、見習いの殺し屋らに起こる“どうでもいいこと”をテーマに、「不可抗力」「ジュニア」など、意味深なタイトルの7話が展開。
ジリアン・チョン、チャップマン・トー、『ドリーム・ホーム』のイーソン・チャンのほか、アンジェラ・ベイビーやエディソン・チャンなど、豪華キャスト共演。
セックスやヴァイオレンス、ブラックな笑いを散りばめた監督の攻めの姿勢は、『ドリーム・ホーム』に繋がっていく。

『ドリーム・ホーム/維多利亞壹號』(2010年・96分)
働き者で野心家のチェン。彼女の夢は、ビクトリア湾を一望できる高級マンションを買うこと。
ついに頭金を支払える時になって、株式市場の急激な高騰により、家主は売値を上げてしまった。
チェンは怒りのあまり、とんでもない企てをするが…。冷酷無比な殺人鬼へと変貌を遂げていく、最凶のヒロイン・チェン。彼女を演じ、<スペイン・シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック 映画祭2010>で、最優秀主演女優賞を受賞したのはジョシー・ホー。 パン・ホーチョン作品としては、日本で初の劇場公開作であり、また絶叫必至の悶絶話題作となった。

『恋の紫煙/志明與春嬌』(2010年・102分)
2007年の禁煙法により室内喫煙が禁止された香港。それからというもの、街角の喫煙所には多くのスモーカーたちが集まるようになり、肩を寄せ合うように煙草を吸っていた。禁煙ムード高まる香港を 舞台に、街角の喫煙所で出会った男女の恋を描く。
主演は『ぼくの最後の恋人』のミリアム・ヨンと『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』のショーン・ユー。 過激な広東語スラングをふんだんに織り交ぜた会話で笑わせるため、ヌードや暴力描写が一切ないにも 関わらずIII級片(成人指定映画)として公開された。
第30回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)で最優秀脚本賞を受賞した。

『恋の紫煙2/春嬌與志明』(2012年・111分)
続編製作を好まない監督が、前作ファンの熱い要望に応えて製作した『恋の紫煙』の続編。
街頭の喫煙所で出会い、紆余曲折の末に結ばれた化粧品販売員と年下の広告マン。
わずか半年で同棲を解消した2人だったが、偶然にもお互い北京に転勤。男は大陸出身の美人CAと恋に落ち、 女はIT企業社長から求婚され、新たな恋の行方が描かれる。
香港国際映画祭オープニング作品として上映され、前作を上回る2012年香港映画興収第3位という ヒットを記録。また、ミリアムは香港電影金像奨で、最優秀主演女優賞を初受賞した。

『低俗喜劇』(2012年・92分)
2012年香港映画興収第2位の記録を叩き出し、“低俗ブーム”を巻き起こした映画業界を舞台にした ブラック・コメディ。チャップマン・トー演じる、キャリアはあるが、ヒット作がない映画プロデューサー。 離婚した妻への慰謝料すらも払えない彼は、父親の成功を望む愛娘の期待に応えるため、出資者に 中国大陸を牛耳る黒社会の親分を迎え、前代未聞のⅢ級(成人)指定映画を製作することに…。
香港電影金像奨では、異常な性癖を持つ黒社会の親分を演じたロナルド・チェンが最優秀助演男優賞を、 ヒロインを演じたダダ・チャンは最優秀助演女優賞を受賞した。

『パン・ホーチョン、やっぱりお前は誰だ!?』
8月24日(土)シネマート六本木にて2週間限定公開!
公式サイト:http://www.phc-movie.com/
ツイッター:https://twitter.com/@PangHoCheung

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro TogawaYasuhiro Togawa