原作は「第3回このミステリーがすごい!大賞」(04)を受賞した深町秋生(ふかまちあきお)のデビュー作「果てしなき渇き」(宝島社刊)。その圧倒的パワフルな文章力とキャラクターのもつ破壊的なエネルギーの迸りに読者が虜となり、現在までに累計発行部数24万部を超えるベストセラーとなっております。

突如失踪した優等生の娘を、元・刑事である父親が捜索に乗り出す。娘の跡をたどるうち、やがて父親は驚愕の事態に巻き込まれていく・・・。ミステリーあり、サスペンスあり、アクションありの原作を、中島哲也監督自ら脚色に参加し、衝動的なエネルギーはそのままに、我々の想像をはるかに超えてくるエンターテインメントに昇華させました。
元刑事であり父親の藤島昭和役に、主演作は後を絶たず、名実ともに日本を代表する俳優として活躍し続ける役所広司が演じます。突然消えた娘を探しながら、失ってしまった“家族像”を異様なほどの執念で取り戻すべく奮闘する男を熱演します。突然謎の失踪を遂げた美しき優等生の娘・加奈子役に新人・小松菜奈をオーディションの中から中島哲也監督自らが抜擢。 10代特有の危うさと誰もが息をのむ美しさを併せ持つ少女役を優しく・可愛らしく・そして妖しく演じます。『告白』で母娘を描いた中島監督が本作『渇き。』で描く父娘に要注目です。

そして中島組らしく脇を固める共演陣も豪華なキャストが集結しました。
事件の重要参考人となった藤島に密着する元部下である刑事・浅井役に妻夫木聡。
また浅井と同じ署に勤め、藤島が失った“家族”をなにより大事に考える刑事・愛川役にオダギリジョーが演じます。

その他、加奈子の同じ中学時代の不良少女の遠藤役に、二階堂ふみ、加奈子の失踪の原因を藤島に匂わす高校の友人・松下役に橋本愛が務めます。そして加奈子の中学時代の担任である東(あずま)役に中谷美紀。藤島が加奈子の過去をたどる上での重要な役目を演じます。ベテラン・中堅・若手の実力派俳優たちが一堂に会し、結末が想像できないミステリアスなドラマに厚みを加えていきます。
作品毎に傑作を生み出し続ける監督・中島哲也。今回も想像を超えてくるエンタテインメントを我々に提供してくれます。

本作は2013年8月7日から本編撮影を開始し、2014年夏ごろに公開を予定しております(時期未定)。

中島哲也監督コメント

悪夢のような原作です。映画化なんて絶対無理! ですが・・・最低最悪の主人公を演じる役所広司さんの勇気、新人女優 小松菜奈さんとの劇的な出会いが、僕にこの物語の映画化を決意させました。
日本映画にかつて無いバイオレンス・ファンタジーを目指し、現在、スタッフ・キャスト血まみれで撮影中です。

原作者・深町秋生コメント

まず耳を疑った。「え? おれのを? あの中島哲也が? 嘘でしょ」と。原作の『果てしなき渇き』は、 2005年に刊行された私のデビュー作だ。執筆したのは27〜28歳の小僧っ子のころ。 人様を楽しませようとはあまり考えず、自分の欝憤や苦悩を叩きつけた未成熟な作品だ。しかし、準備稿のシナリオを読んで腑に落ちた。この段階で、すでに危険な匂いを放つヤバいエンターテインメントに昇華していたからだ。完成 したらどうなるんだ……早くも中島マジックに幻惑されている。

役所広司コメント

中島監督の作品は、常に挑戦的で刺激的な映画です。
久しぶりの中島組の仕事に緊張しています。
この、果てしなく渇いている、狂気と暴力。とてつもない物語のようですが、 毎日のように凶悪事件のニュースが報じられている今を思えば、この物語はこの国の一部をリアルに描いているのかも知れない、と感じてしまいます。
孤独から抜け出す為に、壊れてしまった家庭を再生しようと、もがけばもがく程、何もかもが壊れていく。そんな愚かで、孤独な男の虚しさを懸命に演じたいと思っています。

小松菜奈コメント

原作の題名を見た時から、何か怖そうだなという印象でした。でも、読んでいくうちに 次はどーなるんだろうと凄い引き込まれて、今までに読んだことがない様な本でした。 題名の通り、すべてが渇ききってしまっていて、人間のどん底を感じると言うか、 現実に遭遇したら恐ろしい話だと思いました。 私が演じる加奈子という役は、一見ごく普通の女の子だけど、多くの顔を持っている子だと 思います。中島監督の作品は全部見ましたが、どれも素敵な作品ばかりで、本当に今までに ないちょっと変わった内容や独特の映像の綺麗さに圧倒されました。中島監督の作品に 出演できるなんて今でも信じられません!! 役所さんをはじめ素晴らしいキャストの方々と共演させていただく事には、今は正直凄く不安な事ばかりです。 私は、映画も初めてで演技も全然した事がないので、相手の演技に負けて加奈子の存在が薄くならないかとか、 ちゃんと加奈子を演じられるかとか不安しかありませんが、私にしかできない加奈子を演じたいです。
全力でぶつかって、一日一日を楽しみながら色んな事を学んでいけたらいいなと思っています。 加奈子はどういう子なんだろうとか、『渇き。』は見る人、一人一人が違う感情を抱くと思うし、今まで見た事のない作品になっていく思うので楽しみにしていて下さい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa