人生はめぐる季節。
英国貴族が、京都大原で見つけた幸せのかたち。
イギリスの伝統と日本の春夏秋冬を融合させた丁寧な暮らし。

京都大原、築100年以上の古民家に暮らすイギリス人女性ベニシア・スタンリー・スミスさん。
貴族の家系に生まれたベニシアさんですが、華やかな社交界に心の安らぎを見いだすことはできませんでした。
19歳の時、本当の幸せとは何かを求めて、祖国を旅立ちます。世界を放浪した果てに辿りついたのが、京都、大原でした。折々に美しい山里の四季、そして今に息づく昔からの知恵———ベニシアさんはそんな大原に理想郷を見出したのです。 今、ベニシアさんはおよそ100種類ものハーブを庭で育てながら、自然と調和した暮らしを営んでいます。
ベニシアさんの暮らしを綴ったドキュメンタリー番組「猫のしっぽカエルの手 京都大原ベニシアの手づくり暮らし」は、2009年4月からNHK BSで放送を開始。4年の長期にわたって放送されました。日本の春夏秋冬にイギリスの伝統を融合させたベニシアさん流の丁寧な暮らしとハーブの恵みを余すところなく活用したレシピの数々は、TV放送をきっかけに静かな人気を呼んでいます。

映画『ベニシアさんの四季の庭』では、ベニシアさんの世界に新たなページを開きます。一見、優雅で羨ましく思えるベニシアさんの暮らしですが、その陰には、さまざまな困難がありました。結婚と離婚、3人の子を抱えるシングルマザーとしての苦労、娘の病気、夫の事故…今まで語られることのなかったエピソードを通して、波乱の中にあっても折れることなく、ひとつずつ乗り越えてきたベニシアさんの心のしなやかさに光をあてます。ベニシアさんは「人生では様々な問題が起こる。たとえ嵐の中でも動き、踊ることが人生なのだ」と言います。どんな時も前向きに笑顔と感謝の心を忘れずに生きる姿は、先の見えない現代社会で生きる多くの人の心を打つことでしょう。

困難を乗り越える心構えは書き下ろしのエッセイとして、映画では本人の朗読でふんだんに伝えます。優しい声と美しい英語が劇場をやわらかく包みます。四季の彩りの中で心穏やかに生きるための知恵がつまった本作は、目にも心にも優しいドキュメンタリーです。
大原の美しい景色、およそ100 大原の美しい景色、およそ100種類のハーブが彩る四季の庭、 種類のハーブが彩る四季の庭、 種類のハーブが彩る四季の庭、 オリジナルレシピの数々を味わう至福の映画体験。 オリジナルレシピの数々を味わう至福の映画体験。

ベニシアさんの手づくりの庭は様々なハーブが四季折々の彩りを添えます。そのハーブを料理はもちろん、掃除、美容に至るまで幅広い用途に使うのがベニシア流。イギリスと日本、二つの文化を融合させたオリジナルレシピの数々を紹介します。春夏秋冬それぞれに美しい表情を見せるベニシアさんの庭、そして大原の自然を大きなスクリーンで味わえるのも映画ならではの贅沢です。サウンドトラックはTV放送でもおなじみの川上ミネさんによるオリジナル。こちらもあわせてお楽しみ下さい

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執筆者

Yasuhiro Togawa