公開時にわずか3日間で興収約10億円を稼ぎ出し、全米初登場1位を獲得したポリス・アクション『エンド・オブ・ウォッチ』は、パトカー内に搭載されたビデオカメラによって、これまで映像化されることのなかったL.A.の犯罪最前線が、凄まじいリアリティと、かつてない臨場感でえぐり出されていることで話題を呼んでいる。

  熱い友情と固い絆で結ばれたテイラーとザヴァラの警察官コンビを演じたジェイク・ギレンホールとマイケル・ペーニャは、撮影開始の5か月も前からロス市警に同行して訓練を受けた。本作は、ロサンゼルス警察の全面協力と監修を得て、犯罪都市L.A.のなかでも最も危険な地域サウス・セントラルの剥き出しの日常を、二人の警察官の仕事を通じて見事なまでに描きだした作品なのだ!

  そんなリアリティ満点の映画に、なんと! 本物の事故が映し出されていた。それは映画の終盤にギャングを追い詰めてアパートに入って行くシーン。シルバーのバンを追跡し、衝突するシーンは本来脚本にはなかった。なんと実際に車を運転していたマイケル・ペーニャが不意に起こしてしまった事故だったのだ。乗っていたのは、撮影用にカメラの振動を減らすため、ブレーキ時のABS(アンチロックブレーキシステム)を外した車であったが、道路の路面が舗装されたばかりであったことも災いして、150フィート(約47メートル)もスリップした末にエアバックが飛び出すほどの大事故だったのだ! 本編では、そのシーンを撮り直したり、カットすることなくそのまま使用している。この危機一髪の命拾いの状況に、『クラッシュ』や『ミリオンダラー・ベイビー』などで名を馳せ、最新作『L.A.ギャングストーリー』ではギャングを演じたマイケル・ペーニャも驚きを隠せなかったに違いない。

マイケル・ペーニャの談話。「パトカーで事故ったんだ! 信じられないよ。スタントチームがABSを外していただんだ。サウス・セントラルの舗装したての通りでブレーキをかけた瞬間にスリップしたんだ。OH! NO!と6秒ぐらい叫んだよ、そして次の瞬間壁に突っ込んで、エアバッグが膨らんでいたんだ」

  どこまでもリアルを追求し、本当に起きたアクシデントも映し出された本作。アクション好きにはたまらないはずだ。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=51304

執筆者

Yasuhiro Togawa